2016年07月05日 公開
2021年08月23日 更新
面倒くさがり屋の戦略なきジョージアですが、新築マンションは「早い、安い、雑」を上手に活かします。
内装工事前の未完成物件を、格安で販売しているのです。
「雑」に積み上げられたむき出しの壁に、ドアと窓がついているだけ。床も天井も仕上げていないすっぴん状態ですが、キッチン・トイレの水回りから、寝室・リビングの間取りまで、自由に設計・工事できます。
内覧した物件は、12階建て最上階の90平米、平民を見下ろす三方向ベランダ。屋内駐車場付き。屋上の使用権までついて、お値段たったの600万円。
秒速で一目惚れしましたが、土俵際で契約は思いとどまりました。
実はこのマンション、新築と名乗っているものの完成したのは2年前。入居者数が少なく、共益費不足でエレベーターが有料。上りだけ5円。
エレベーター代は我慢できるとしても、大いなる謎がひとつ。
12階には誰も住んでいないのに、廊下はいたるところ犬のフンだらけなのです。
不動産屋に「なぜここに犬の落とし物が?」と問い合わせたところ、契約後に掃除をするからとお返事をいただきました。
そういう問題でもないので、静かに財布のひもを締めたのです。
内装前の未完成マンション。ベランダすら自由に作れます。
ジョージア国内を転々としたふた月間、行く先々で彼らの自由闊達な仕事ぶりに胸を打たれます。
水平垂直を度外視した、プリミティブな工事施工。
傾いたドアは開けにくくて閉めにくく、施錠しないと勝手に開いてしまう玄関。
その玄関前に唯一の暖房機を固定しているのは、ガス管を伸ばす手間を省いたからに違いありません。
Commieblockと呼ばれる共産圏型共同住宅の無秩序な増改築。外壁に貼り付いたエアコンの室外機は、「機能的に問題なし!」という吹き出しが見えそうなくらい、大胆にナナメっています。
一見お洒落なL字型キッチンは、シンクがLの字の角にあるので、お皿が洗いにくくて疲れやすい不健康な構造。
共有廊下の人感センサーライトは、万歳三唱をしないと点灯してくれません。
多くのコンセントは意図不明な位置にあり、使い道を募集したくなるのが階段途中のコンセント。
冷蔵庫専用のコンセントは、差せば冷凍室が開かなくなる理不尽さ。
二重ガラスの窓にしても、窓を閉め忘れたかと思うくらいの隙間風。建て付けそのものが悪すぎるのです。
使い勝手より、作り勝手を優先するジョージアならではのマンション価格は、東京の10分の1足らず。
顧客目線を気にしない、出たとこ勝負的クォリティは100分の1。
新築なのにリノベーションを楽しめるマンション。
おひとついかがですか?
床が傾いていた家の娘さん。まっすぐに育ってほしいものです。
更新:11月23日 00:05