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意外すぎる!? なぜか成長率が高い5つの国

2016年06月15日 公開

広田幸紀(国際協力機構〈JICA〉チーフエコノミスト)

2014年の世界1位はなんとあの国!?

 今、最も経済成長率が高い国をご存知だろうか? 本稿執筆時点(2016年4月12日)での最新データである、IMF(国際通貨基金)が昨年10月に発表した2014年の各国の経済成長率を見ると、1位から順に「エチオピア」「トルクメニスタン」「コンゴ民主共和国」「パプアニューギニア」「ミャンマー」と、見慣れない国名が並んでいる。いったい、なぜこれらの国が成長しているのか、JICAのチーフエコノミスト・広田幸紀氏に解説していただいた。

 

継続的に成長する国と、瞬間風速に終わる国の違いとは?

 経済成長率は継続的に高いかどうかが重要です。2005~14年の10年間の平均を見ると、ここで取り上げた5カ国のうち、トルクメニスタンは世界3位、エチオピアは4位、ミャンマーは10位の高さですから、この3カ国は確かに世界のトップパフォーマーと言えます。パプアニューギニアは27位、コンゴ民主共和国は28位で、まずまず高いといったところでしょうか。

 この20年の間に2桁成長を記録した国は76ありますが、主な成長要因によって、(1)紛争終結後などの復興(2)体制移行(3)資源(4)小規模島嶼国(5)良好な経済運営などそれ以外の要因、に分類できます。(5)には中国やインドも含まれます。この中では(3)(5)のグループの平均成長率が高い。また、(1)(4)の国々はマイナス成長になった期間も相応にあり、資源の恵みや復興需要によらない成長が、変動の少ない安定成長をもたらすことがわかります。ここで挙げた5カ国では、コンゴ民主共和国は(1)(3)、トルクメニスタンとパプアニューギニアは(3)、エチオピアは(5)に当てはまります。ミャンマーは、(3)に加えて、近年は民主化や経済改革など(2)(5)の要素もあります。

 IMFは半年に1度経済見通しを公表していますが、次に発表される統計では資源価格の下落の影響がより大きく反映されて、(3)の国々の経済成長見込みが下がることが予想されます。

 

第1位 エチオピア 10.347% 

 GDPの42%、雇用の7割強を農業が占め、製造業は発展途上。資源も乏しい。成長を牽引しているのは内需です。需要面では成長要因の半分以上を公共投資が占め、公共投資の対GDP比率は世界トップクラス。1995年からの外国援助の累計は世界4位で、財政資金に加えて援助を公共投資に回すことで、とくに建設業が伸びている状況です。首都アジスアベバ市内には、昨年、サブサハラアフリカ初のLRT(軽量軌道交通)が開通しました。アフリカ最大規模の水力発電ダムの建設も進められています。

 資源に依存していないので資源価格下落ではむしろ恩恵を受けますが、課題は民間投資が少ないこと。低賃金や安い電力を背景に、製造業の誘致に積極的に取り組んでいるところです。すでにトルコによる大型投資事業などが操業しており、日本も、カイゼン活動の普及など、産業育成に協力しています。

 

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第2位 トルクメニスタン 10.322%  >

著者紹介

広田幸紀(ひろた・こうき)

独立行政法人 国際協力機構(JICA) チーフエコノミスト

1958年、北海道生まれ。経済学博士。旧国際協力銀行ハノイ、ジャカルタ首席駐在員、開発第一部長、JICA東南アジア・大洋州部長、企画部長などを歴任し、2015年より現職。埼玉大学客員教授。

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