2016年03月25日 公開
2016年04月06日 更新
――関連工場の他に、御社の強みはなんでしょうか?
安藝 彫刻をする力はかなり高まっていると思います。インハウスで彫刻家(原型師)を多く抱えているので、互いに刺激し合って技術が高まるんです。
また、『ねんどろいど』やマックスファクトリーの『figma』、スタチューと呼ばれるものなど、いろいろなシリーズを持っているので、ヒットコンテンツが出たときにそれぞれのシリーズで展開していけるのも強みです。
――中でも『ねんどろいど』は御社を代表されるシリーズだと思いますが、これはどういう経緯で開発されたのですか?
安藝 キャラクターフィギュアの商品としての寿命が短いことを身に染みて感じていたので、より早く市場に届けられる、作りやすい商品がほしかった、ということはあります。
ただ、最初のデフォルメフィギュアは、そんなことも考えずに作りました。それが思った以上に高品質だったのです。デフォルメフィギュアというものは、いろいろなところを簡略化して作った「安いおもちゃ」という認識が一般的だったのですが、それは違ったのです。しかも、頭が大きいこともあって重量感がある。「これはいける気がする」とリリースしたら非常に人気が出て、そのままシリーズになっちゃった(笑)。あまり意図せずに生まれたシリーズですね。今は、シリーズが600を超えて、たいへん愛着がありますよ!
――『figma』のほうはどういう経緯で?
安藝 アクションフィギュアというジャンルを海洋堂さんが『REVOLTECH』というシリーズで始められていたのを、「そういうものがあるんだな」と見ていたんです。『REVOLTECH』はロボットや格闘系のキャラクターなどが多かったのですが、当社が得意な女の子のフィギュアや物語の登場人物が自然に演技をしているようなフィギュアでも、同じようなものができればいいな、と思っていました。
そんなときに、一緒に仕事をし始めていた外注の原型師さんから、のちの『figma』のもとになる素体が上がってきたんです。それを触った瞬間に「これしかない」と思いました。素晴らしい表現力だったのです。
『figma』は、大きなものを精密に小さくしたものではなく、この世界にこのサイズで存在するもの、というのがコンセプトです。そういう考え方をした瞬間に、アクションフィギュア特有の関節部分の切れ目が気にならなくなって、一気に企画が進みました。
商品名: figma 考える人 石膏ver.
作品名: テーブル美術館
メーカー: FREEing
カテゴリー: figma
価格: 3,980円 +税
発売時期: 2016/01
仕様: ABS&PVC 塗装済み可動フィギュア・ノンスケール・専用台座付属・全高 : 約155mm
原型制作: MIC
制作協力: マックスファクトリー
発売元: FREEing
販売元: グッドスマイルカンパニー
――これも当初から売れたのですか?
安藝 最初から売れました。「これは良いものだ!」という感動が強かったので、強気に売っていきましたね。
――芸術作品をフィギュアにした『figma』も出されていますね。
安藝 それは当社が出しているわけではないんですよ。仲の良い会社には『figma』ブランドを開放しているのです。他の会社とバッティングしないように企画を考えているうちに「ロダンの『考える人』もいいんじゃない」などと冗談混じりに話すようになって、本当に作ったら結果もよかった、ということではないでしょうか。『ねんどろいど』もかなりオープンにしていて、いろいろな会社から出ています。
――なぜオープンにしているのですか?
安藝 作りたいものはたくさんあるのに、当社では全部作れない、というのが悩みの種なんです。ですから、「みなさんが作りたいものを、どんどん作ってください」ということにしました。それに、『ねんどろいど』も『figma』も顔や手足が交換可能なので、いくつも持っていると付け替えて楽しめますから、バリエーションがたくさんあったほうがいいのです。
《〈2〉へ続く》
《写真撮影:長谷川博一》
更新:11月22日 00:05