2016年02月26日 公開
話す力は、自分の中に話すためのフレーズが蓄積されて初めて成立します。まずは英語を話す機会を増やそうとして英会話学校やオンラインレッスンを試す方がいますが、自分の中にストックがないままそういう環境に身を置くのはあまり効率的ではないと思います。
英語力が不十分な段階でネイティブと交わせる話題は限られています。言葉を組み立てるのに精一杯で、相手とのやりとりを楽しむところまでいかない、というのが現状ではないでしょうか。
それなら、第三者同士の面白い会話を観察したほうが濃い学習ができます。ドラマには多様な日常会話のほか、悩み相談、議論、心温まるやりとりなどが数多く出てきます。その表現を知ることは、英語圏の人々のコミュニケーションのノウハウを会得することでもあるのです。
このインプットができて初めて、アウトプットができます。覚えた表現を自分でアレンジしてツイッターでつぶやいたり、ネイティブに話しかけたりすることで、さらに多くの学びを得られるでしょう。
さて、楽しい方法の中にも「やる気ダウン」のリスクがないわけではありません。それは、上達を焦ってしまったときです。
字幕ナシで理解できるようになるには時間がかかります。1シーズン分24話を見終えたころに、上達が感じられるようになる、といったスローな進み方でしょう。
ですから、ここは気長に構えること。そして「この言い方は前も出てきた」という発見や、「前わからなかった部分が聴き取れた」などの小さな進歩を喜び、エネルギーにしましょう。
「~しなければ」という思いにとらわれないことも大事です。「毎日必ずこれだけやらなければ」などと思い込むと、楽しさも半減。「気分が乗ったときに進めればOK」という気楽さを持ちましょう。
たとえばですが、第二段階の「日本語音声・日本語字幕」しかできなかった日があったとしても、焦る必要はありません。この段階なしに第三段階での深い理解は不可能ですから、ここも重要な英語学習です。各プロセスに意味があることを心得ておきましょう。
あとはぜひ、とにかくストーリーを楽しんでみてほしいと思います。登場人物に感情移入し、ともに笑いましょう。そうした共感が、リアルで濃い会話を交わすコミュニケーション力の基盤となるのです。
シットコムには日常会話が多いので、ネイティブならではの日本人が知らない面白い表現が多数登場する。いくつかお勧めの表現を教えてもらった。
1. I see where this is going. 「この先、どういう話になるかわかるぞ。この先の話が見えたぞ」
2. That's what this is all about.
「これはすべて、そういうことだったのね」。
3. You're one to talk.
「君がそれを言える立場か」
※「言っている君にも同じ欠点があるのに、そんな風に人を批判するのか?」というニュアンス。
4. I'm rubber and you're glue. 「その言葉、そっくり返すよ」
※直訳すると、「私はゴムで、あなたは糊(のり)だ」ということ。「あなたの言った言葉は私(ゴム)で跳ね返って、あなた(糊)にくっつく」→「その言葉そっくり返す」という意味になる。
5. I'd be lying if I said I wasn't intrigued.
「興味をそそられなかったと言えば嘘になる」
※つまりは「興味をそそられた」」ということだが、それを「~でなかったと言えば、嘘を言っていることになるだろう」と「仮定法過去」を使って表現したもの。
6. If this isn't happiness, then what is? 「これが幸せじゃないのなら、何が幸せだって言うの?」
※「これがまさに幸せ、今最高に幸せ」という意味。日本語の言い回しと似ている。
《『THE21』2016年2月号より》
更新:11月22日 00:05