脳の研究者としての知見をもとに、英語が効率的に習得できる勉強法を提唱している加藤俊徳氏。加藤氏自身、もとは英語が苦手だったが、今ではネイティブとのコミュニケーションに不自由しないレベルにまで上達している。どうすれば「英語脳」が作れるのか? その勉強法の要諦をうかがった。
まず、英語が使える脳とはどういうものなのか、「脳番地」の考え方を使って説明しましょう。
脳には1,000億個を超える数の神経細胞があり、似た働きをする細胞が集団になっています。私は、脳全体を地図に見立てて、それぞれの集団に番地を割り振るイメージで、「脳番地」という言葉を使っています。
脳番地は120あるのですが、大きく分けると、「思考系」「感情系」「伝達系」「理解系」「運動系」「聴覚系」「視覚系」「記憶系」の8つの系統があります。
たとえば会話をするときは、聴覚系脳番地を使って相手の話を聞き、理解系脳番地でその内容について理解を深め、その情報が伝達系脳番地に送られます。それから、伝達系脳番地が相手に伝えたいことを集めて準備し、運動系脳番地が口を動かして言葉を発するという流れで脳が働いています。
英語が使える脳というのは、この流れを英語で回せる脳のことです。
脳の神経細胞は成長とともに減っていきますし、細胞自体も老化します。しかし、複数の脳番地をつなぐネットワークは、学習によって強化できることがわかっています。ですから、英語が使える脳を作るためには、脳番地をつなぐネットワークに可能な限り高い頻度で英語を流して、強化することがカギとなります。
多くの方は、英会話のレッスンを受けたり、英語のテキストを開いて勉強したりしているときに、英語力が上がっていると思っているのではないでしょうか。しかし、それだけでは十分な頻度とは言えません。英語を勉強しているとき以外の時間も、いかに脳の中に英語を流し続けるか。それが、英語力向上の最重要ポイントなのです。
更新:11月22日 00:05