2016年01月12日 公開
2017年01月17日 更新
途上国の学校給食支援を行なうNPO法人TABLE FOR TWO International代表の小暮真久氏は、仕事で英語を使い、世界中を駆け回る。そんな小暮氏が英語習得にあたり心がけていたのは、「楽しみながら覚える」ことと、「覚えた英語を使って楽しむ」こと。そんな好循環を生み出す秘訣とは?《取材・構成=前田はるみ、写真撮影=長谷川博一》
1食につき20円が開発途上国の子供の学校給食に寄付される「TABLE FOR TWO」プログラム。そのNPO法人の代表を務める小暮真久氏は、英語力を武器に世界各地で仕事をしている。学生時代には留学経験もある小暮氏だが、英語が上達した一番の理由は、机上で勉強することよりも、「英語を使う楽しさにあった」と話す。その原体験となる高校時代のエピソードを話してくれた。
「家の近くに米軍の座間基地があり、軍人の奥さんに英語を教えてもらった経験が、『英語って楽しいな』と思ったきっかけです。
当時、本当は留学したかったのですが、家の事情で叶わず、だったら留学しているような環境を作ろうと思いついたのです。ネイティブの先生は、新聞の地方欄の広告で見つけました。
英語を勉強するというより、その家に遊びに行くような感覚でした。その家に住む四~五歳の女の子とおしゃべりをしたり、お菓子を食べたり、基地内の映画館へ一緒に映画を観に行ったり。
基地内はアメリカの町が再現されていて、まるでアメリカに住んでいるかのようでした。彼らと一緒にいると、『今日はこんなものが食べたいね』といった会話も自然に生まれてきます。暮らしのなかで生きた英語に触れる機会が持てたのは、楽しい経験でした」
その後、オーストラリアの大学院で学ぶため留学。高校時代に英語圏の文化に親しんではいたものの、英語で生活したり、大学の授業を受けたりするのは別問題だったようで、「言葉の壁にぶつかりました」と小暮氏。自作の英単語帳で語彙を増やすなど、改めて英語を学び直した。ただし、「楽しみながら学ぶ」という姿勢は常に意識していたという。
「大学の授業とは別に、エッセイをA4用紙一枚に書いて、英語の先生に添削してもらっていました。書く内容は何でもよかったのですが、僕の場合、新聞で読んだ時事問題をテーマに選んだり、とくにテーマがなければ『家族について』といったお題で書いたりしました。
添削してくれる先生とのやりとりが楽しかったですね。教えてもらった表現を次のエッセイで使ってみたりして、学んだ英語を使う楽しさを覚えていきました。
また、日本語を介さずに直接英語で書くようにしていたので、日本語に頼らず英語で考える力も身につきました。エッセイを書いていたときが、自分でも英語力が一番上達したように思います」
英語の映画を字幕なしで鑑賞するのも効果的だったという。これは日本に暮らしている人も可能な学習法だ。ただ、字幕なしでの映画鑑賞は、英語が早口で聞き取れなかったり、スラングなどの言葉が理解できないのではという懸念もある。これについて小暮氏は、字幕なしで映画を観る際のコツをこうアドバイスしてくれた。
「僕自身、英語に不自由しなくなった今でも、作品や俳優によっては聞き取りにくいことがあります。つまり、自分の耳に合った人の声というのがあるのです。
ですから、一字一句聞き取れないと理解できない映画よりも、映像だけでもある程度展開が予想できるような簡単なストーリーの作品を選んだり、自分が聞きやすい声の俳優が出演している作品を選ぶのがいいでしょうね。
僕の場合、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の俳優の声が耳に合っていたので、あれを何度も観ました。自分に合った俳優の声を見つけるのも、楽しみの一つです。
理解しにくい箇所を繰り返し聞いていくと、100%はわからなくても、8割くらいはわかるようになります。また、気に入った表現があったら、その俳優の表情なども真似しながら言ってみると、記憶にも残りやすいと思います」
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更新:11月04日 00:05