2015年10月18日 公開
2023年05月16日 更新
藤巻健史氏の新刊『国も企業も個人も今はドルを買え!』(PHPビジネス新書)がいよいよ発刊される。なぜ、藤巻氏は「ドルを買え」と主張するのか。そこで、本書のベースとなった「THE21」の好評連載「2020年のサラリーマン・サバイバル術」の第1回(2015年4月掲載)をここに転載。藤巻氏が抱く日本への危機感とは?
「アベノミクスで、再び景気が上向きつつある」。今年に入り、そんな声が周囲から聞かれるようになった。「異次元」と称された大胆な量的緩和が行なわれ、輸出産業をはじめとした一部の大企業の収益は大幅に回復し、一時は8000円台まで下落した株価は1万9000円を突破した(2015年5月当時)。「この調子でいけば、本当に日本経済は復活するのではないか」という期待を寄せる人も少なくないだろう。
しかし、その期待をそぐようで申し訳ないが、私は、今の日本経済に対して、いっさい、楽観的な見通しを持つことができない。
量的緩和をすれば、一時的に株価が上昇したり、円安で輸出産業の売上げが伸びたりするのは当たり前の話だからだ。政策の良し悪しは短期的には判断できない。出口、つまり量的緩和を終えた時点で、初めてトータルに評価することができる。
そして、そのような視点から考えたとき、アベノミクスの量的緩和は、後々、間違いだったと断罪される可能性が極めて高い。このままいけば、ハイパーインフレが起きて、円が大暴落する──。私は、いまだかつてないほどの危機感を覚えている。
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更新:12月10日 00:05