2015年07月29日 公開
2023年05月16日 更新
収支の把握というと家計簿が最良の方法と思う人は多いだろう。しかし、家計やライフプランに関する著書を多数執筆しているファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子氏は、「家計簿には落とし穴がある」とのこと。曰く、家計簿をつけるだけで見直さず、結局収支の改善につながらないケースも多いというのだ。八ツ井氏が勧めるのは、レシートでトータルの収支を確認したうえで、その出費が必要だったかどうかを振り返る方法だ。詳しく教えてもらった。<取材・構成 林 加愛 写真撮影=まるやゆういち>
「貯蓄」はすべての人にとって重要なテーマです。なぜなら、今の収入をずっと得続けられる人はほとんどいないからです。多くの人はいずれリタイアし、収入は年金のみとなります。そのときに備えて現在の収入から将来の資金を取り分けること、それが貯蓄です。そして、そこに向けて「今、どこまで使えるか」を考えるのが家計管理です。
当然ながら、収支把握は必須。収入がわからなければ使える限度も見えず、支出がわからなければ貯蓄できているか否かもわかりません。
ところが、それができていない人は意外と多いのです。
自分の収入額を正確に把握していない人は、とくに単身者によく見られます。独身の時期は教育費や住宅購入などのライフイベントと無縁とあって、いわば「貯めどき」と言えるのですが、こうした人たちはその好機をみすみす逃しているとも言えます。
一方、「共働き夫婦がお互いの収入を把握していない」というケースも多々あります。この場合、収入がある程度潤沢であることがかえって油断につながります。「このくらい使っても多分平気」というアバウトな判断でモノを買うため、費目を問わず支出が膨張し、「収入が多くても貯蓄が少ない」という先行き不安な状態に陥ります。
では、収支を把握するには何が必要でしょうか。
まずは、毎月発行される給与明細をきちんとチェックしましょう。給与明細は3つの要素から成り立っています。1つ目は、出勤・欠勤・有給休暇などの「勤怠」。2つ目は、その対価である「支給」。そして最後が、税金や社会保険等の「控除」です。
これらを確認することで、自分の労働がお金に変わったのだと実感できます。その大事なお金から無情にも税金が引かれているのを見て、「きちんと使ってほしい」という意識も喚起されるでしょう。こうした意識から、「お金を丁寧に使おう」という姿勢が生まれます。
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更新:11月21日 00:05