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家計のムダが劇的に減る!「おサイフ日記」とは?

2015年07月29日 公開
2023年05月16日 更新

八ツ井慶子(ファイナンシャルプランナー)

「何にどれだけ」より「なぜ買ったか」が重要

このように収入を把握しても支出が変わらない人は、生活スタイルや行動パターンに「無駄遣いグセ」が根深くしみついた状態と言えます。こうなった場合、どのような処方箋が必要でしょうか。ここで登場するのが、「おサイフ日記」です。

おサイフ日記とは、買い物のレシートをすべてチェックし、その内容をノートに書き込んだ「消費行動の日記」です。一見家計簿と似ているようですが、その目的・機能・効き目には、大きな違いがあります。

家計簿は出費を費目ごとに書いて収支を確認するツールですが、とかく三日坊主に陥りがち。続いたとしても「無駄遣い防止効果」を実感できた人は少ないのではないでしょうか。それは家計簿が「何にどれだけお金を使ったか」のみを記録するものだからです。この淡々とした羅列だけでは、根深い無駄遣いを改善することは困難です。

ここで重要なのは、「なぜ」を問うことです。「なぜ、その消費行動をしたのか」をつかむことで、行動パターンや消費行動の中に潜んでいる問題を発見することができるのです。

そこでまず、今あるレシートをサイフから出して見てみましょう。そして、その買い物が「良い買い物」であったか否かに応じて、○×をつけていきます。

そのレシートをノートに貼り、次の三点を書き記しましょう。
1 なぜ買おうと思ったのか
2 サイフを開いたときの気持ち
3 買った後も使っているか

もし使っていないものがあるなら、それは「無駄遣い」。使っている、役に立っていると思うならば、それは意味のある出費だったということになります。

 

「ストレス消費」と「見栄消費」に注意

 

「なぜ」への答えに「衝動買い」や「ストレス発散」などが多いときは、要注意です。ストレスは消費行動で一時的に消えても、根本的に消し去ることはできません。それどころか、心の空洞を埋めるために、さらに消費を重ねる危険もあります。

また、「安かったから」「限定品だったから」など、主語がモノやサービスになっている場合や、「安物の時計では恥ずかしいから」といった、いわゆる「見栄消費」をする人も、その場の雰囲気や周囲に流されて要らぬ出費をするタイプ。自分軸をしっかり持てるよう、反省が必要です。

このように、おサイフ日記をつけることは自分を振り返る作業と言えます。自分の欠点に直面したり、買ったまま放置してあるモノの数々を思いだしたりして、心がヒリヒリ痛むこともあるはずです。

しかし、そのプロセスが大事なのです。それらの失敗が、学習材料になるからです。そこから、「自分に生かせるもの」だけを手に入れる、賢いお金の使い方が身につくでしょう。

《『THE21』2015年8月号より》

八ツ井慶子
Keiko Yatsui
生活マネー相談室代表
1973年、埼玉県生まれ。法政大学卒業。大手信用金庫勤務後、2001年よりファイナンシャルプランナーとして「家計の見直し相談センター」相談員を務める。13年に独立、「生活マネー相談室」を設立。これまで延べ数千人以上の家計相談に乗ってきたほか、講演活動、テレビや雑誌への登場も多数。著書に、『レシート○×チェックでズボラなあなたのお金が貯まり出す』(プレジデント社)など。

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