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<人脈術>1回会っただけの人に「覚えてもらう」方法

2015年05月22日 公開
2023年05月16日 更新

美崎栄一郎(ビジネス書作家)

「社外人脈」をいかに作るか?

ビジネスマンにとって、「人脈」は大きな武器になる。独立を目指す人はもちろんだが、社外での活動によって得られる人脈が、結果的に社内での自分の立ち位置に大きく影響することも多い。
会社員時代から勉強会などを主催してきた人脈の達人・美崎栄一郎氏は、「社外の人脈によって助けられた経験が多数ある」と言う。
その「人脈術」をうかがった。

 

社内で自分しかできない仕事を任される秘訣

今、伸びている企業を思い浮かべてみてください。その多くは、現状維持ではなく新しいことに挑戦している企業ではないでしょうか。

新しいことに取り組むには、既存の技術や情報だけでは難しいものです。もし新規事業に挑戦し成功すれば、社内で評価されるでしょうが、それはとても難しいことでもあります。このとき役立つのが、異業種など社外の人脈なのです。

たとえば、まったくSNSとは無縁だった会社で、SNSを使用した事業を展開する必要が生じたとします。その際、誰も詳しいことがわからずに手さぐり状態の中で、予算や手段など具体的な提案ができる人がいれば、その人に任せようとなるのではないでしょうか。社外の異業種の人とつながっているということは、専門外の分野で頼れる人がいるということなのです。実際、私自身も会社員の頃には、「美崎さんなら社外の人脈が豊富だから、何か知っているだろう」と、新たなプロジェクトに呼ばれたことがしばしばありました。

大事なことは、必要なときに頼りになるパイプがあるかどうかです。自分がすべてに精通する必要はないのです。その分野に詳しい人に話を聞くだけ。直接自分の知り合いに詳しい人がいない場合は、紹介してもらえる人脈があるだけでも条件が違います。

評価も人事異動も自分の思うようにはなりません。しかし、同じ会社員でも、「都合の良い歯車」になるのか、「その人にしかできない仕事がある人材」になるのかでは、充実度が変わってきます。社外に頼れる人脈を作ることは、そういう人材になるためのチャンスなのです。

社外の人脈を築くためには、勉強会やボランティア、趣味の会に参加するなど、積極的に社外活動をする必要があります。こういった社外活動は、今すぐ直接仕事に結びつくものではありませんから、参加したから査定や評価が上がるというわけではありません。しかし、いつか社内で新しい事業に挑戦することになったとき、きっと役立つときが来ます。

社外活動は、会社での評価を高めるためだけでなく、自分の夢を叶える機会でもあります。たとえば、私は「築地朝食会」という勉強会を行なっています。これは毎回、主にビジネス書の著者をゲストに招き、その方のファンに参加してもらって、朝食を摂りつつ交流するというものです。

この会を主催するようになったきっかけは、私が自分で本を出版したいと思ったことでした。売れている本の著者と人脈を築ければ、出版のための勉強ができると思ったのです。

実際に、開催して3年後に著書を出すことができました。しかも、この3年間で、会社で働いていただけではあり得なかった多くの出会いがありました。

たとえば、プロのカメラマンの方と出会い、その後仕事でお世話になったこともあります。目標達成まで3年というと長いと思う人もいるかもしれませんが、私自身が楽しんで主催していたので、得られたリターンも大きかったのだと思っています。

このように、すぐに結果につながらなくても、気長に楽しみながら参加するのが社外活動のコツではないでしょうか。

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著者紹介

美崎栄一郎(みさき・えいいちろう)

商品開発コンサルタント/ビジネス書作家/講演家

1971年、横浜で生まれ大阪で育つ。大阪府立大学大学院工学研究科を卒業後、花王㈱で約15年勤務ののち独立。花王時代には日用品から化粧品まで幅広い商品を手がける一方、社外の社会人向けに勉強会や交流会を多数主催。築地朝食会、社長大学などを開催することで、毎月のべ150名以上の社会人を集めている。異業種でも多くの人脈を持つ。著書に、『ゼロから始める手帳活用術』(KADOKAWAメディアファクトリー)、『iPhone買っちゃった!? けど、使いこなせてないあなたへ』(ソシム)など多数。

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