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仕事ができる人の「考える力」を高める4つのポイント

2014年01月23日 公開
2023年01月05日 更新

『THE21』編集部

『THE21』2014年2月号より》

 

考えずに仕事をすることはできない。しかし、「考えろ」と言われても具体的にどうすればいいのかは、なかなかわからない。外から見てわかる行為ではないからだ。

そこで『THE21』2014年2月号では、総力特集「なぜか仕事ができる人の考える技術」と題して、さまざまな分野で活躍している6人の方々の「考える技術」についてお話をうかがった。

 

<写真左から>

北尾吉孝(SBIホールディングス社長)
・大局的に、多面的に、中長期的に考える

森永卓郎(経済アナリスト)
・目の前の様子を字実況しつつ要約する

岩田松雄(元スターバックスコーヒージャパンCEO)
・難しい言葉を使わずに「要するに?」と問う

築山 節(脳神経外科専門医)
・脳が冴える時間帯に1つのことに集中する

嶋 浩一郎(博報堂ケトル クリエイティブディレクター)
・日常風景を観察して気づいたことを言語化する

森本智子(テレビ東京アナウンサー)
・相手を受け入れてから自分の中で熟成させる

 

各氏のお話からその要点を4つにまとめてみた。

 

本や他の人から情報を得る

 1人で考えているだけでは、視野が狭まり、独りよがりになってしまう。

 本から情報を得るときは、ハウツー本よりも、普遍的な知恵が詰まった歴史や哲学の本に学ぶのがいいとSBIホールディングス社長・北尾吉孝氏は言う。ただし、現代や自分の仕事に照らし合わせて読むことが必要だ。古典を読むことは、元スターバックスコーヒージャパンCEO・岩田松雄氏も勧める。

 また、他の人の話を聞くことも欠かせない。テレビ東京アナウンサー・森本智子氏が実践するように、結論ありきではなく、ゼロの状態で話を聞くことが、情報を引き出すコツだ。

 情報は言語化されたものだけではない。日常風景の中にある、言語化されていない情報のほうが重要だと、博報堂ケトル社長・嶋浩一郎氏は力説する。

 

相手の立場を想像する

 ビジネスマンは、自分の立場からだけではなく、自分を客観視し、より広い視野から物事を考えられなければならない。

 岩田氏は、相手の立場になって考えることで、仕事の本質が見えてくると言う。たとえば上司から仕事の指示を受けたとき、上司がなぜその指示をしたのかがわかれば、その仕事の中で一番重要な部分はどこかがわかる。それがわかれば、最も効率の良い方法を考えることができる。

 また、嶋氏は、相手の立場を想像しなければ、その人に響く企画はできないと話す。つまり、その人を動かすことができないのだ。

 相手の立場になって考えることは、自分の思考力の訓練にもなる。さまざまな場面で、「自分がこの人だったら、こうするな」と考えてみることを北尾氏は勧める。

 

アウトプットをする

 ビジネスでは、いくら考えても、アウトプットをしなければ意味がない。

 経済アナリストの森永卓郎氏は、アウトプットをすること自体が考えることになると言う。何かをしゃべったり、やったりしなければ、相手からの反応が得られない。それでは何も起こらない。まずは、とにかくしゃべってみることだ。

 それができるようになるには、記憶のモジュールを、すぐに引き出せる状態にしておくことが必要だ。そのための訓練は、やはり、しゃべるしかない。

 森本氏の場合は、ニュース番組のキャスターという役割上、なんでもしゃべるわけにはいかない。集めた情報の1割を使えればいいほうだという。しかし、使わない情報も、自分の中に蓄積することで、あとになって活きてくるのだと言う。

 

失敗を怖れない

 森永氏のように、とにかくアウトプットをすることを実践していると、失敗することも多くなるだろう。実際、森永氏も失敗を重ねてきたと言う。しかし、失敗を重ねることで見えてくることも多い。「ここまでならセーフだけれども、ここからはアウトだ」というラインがわかってくるのだ。

 脳神経外科専門医の築山節氏は、失敗を怖れないことが、自分で考えるためには欠かせないと言う。「今までいろいろな失敗をしてきたけれども、結局は大丈夫だったじゃないか」という“失敗経験”が、「成功するか、失敗するか、ギリギリのところだな」という挑戦への原動力になる。

 そもそも、自分で考えたことには、必ず失敗のリスクがある。それを引き受けなければ、考えることはできない。


<掲載誌紹介>

2014年2月号

<読みどころ>ビジネス環境が激変する中、あらゆる場面でアイデアが問われる時代になりましたが、上司や顧客から「考えろ」と言われても具体的にどう考えればよいのかわからない人も多いようです。そこで今月号の特集では、ビジネスの最前線で良質なアウトプットを出しているプロの方々の頭の中を覗いてみました。ロジカルシンキングからフレームワークまでビジネスマンの上手な頭の使い方を伝授いたします。

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