2014年01月07日 公開
2023年05月16日 更新
《『THE21』2014年1月号より》
自分自身が情報に接する理由を意識化しよう
仕事に必要な情報を検索するつもりが、ついつい隣に表示されたニュースが気になって読み始めてしまう。チェックしたいメルマガやサイトがたくさんありすぎて、時間を取られてしまう……。必要な情報にいつでもアクセスできるのは便利な半面、必要のないことについ目を奪われてしまう人も多いのでは。自分に必要な情報をどのように見極めれば良いのだろうか。<取材構成:内埜さくら>
現代は情報過多社会と言われていますが、そもそも情報とは何か、ということを考えたことがあるでしょうか? 情報とは、不満や不安を解消するためのツールだと私は考えます。
たとえば、ダイエットの情報は、現在の体重や体型に不満を持つ人や、現状より太りたくないという不安を抱えた人が入手するものです。また、私は女性向けサイトで連載をしていますが、アクセス数ランキングで上位を獲得するタイトルは、「気づかないうちに犯しているマナー違反」などです。つまり、多くの女性が自身の振る舞いに不安を持っているために、こうした情報にアクセスするということです。
情報整理が下手だという人は、そもそも、この「情報は不満や不安を解消するツール」という考え方ができていないのではないかと思います。これを踏まえて、有効な情報整理の方法として、閲覧したサイトをフォルダ保存し、その際、フォルダ名には不満の内容をそのままつけるという方法があります。先述の「マナー違反」であれば普通は、「マナー」というフォルダに入れると思いがちですが、そうではなく、もっと根源にある不安、たとえば「人に嫌われたくない」というフォルダ名をつけるのです。
こうすることで、自分の不満や不安の傾向が顕著になります。つまり、自分がどんな情報を必要としているのかをはっきりさせることができるのです。すると、今後さまざまな情報を探す際にも、「何のために閲覧しているのか」を意識するため、自分にとって有益か否かの判断ができるでしょう。
では、たとえば仕事中に、「資料作成のついでにネット検索していたら、つい他の情報に目がいってしまって、集中できなくなる」という場合はどうでしょうか。こういう場合は、オフラインにしてネットをシャットアウトするのがもっとも有効な手段です。
それでは必要な情報にアクセスできないと思うかもしれませんが、必要な情報は予め、オフラインで閲覧できるように、『Evernote』や『Pocket』などのツールを使って事前に保存しておくのです。つまり、情報を得て整理する時間と、それを使って作業する時間を分けて考えることが重要になります。
では、その準備のための時間に、必要な情報を瞬時に見極めるにはどうすれば良いか。これは、まず時間を区切ることです。1つの問題につき検索する時間は、50秒で十分だと思われます。検索ワードにヒットするまでの時間は2秒ほどですし、1ページのみの閲覧にとどめることを決めておけば、50秒でも1~2回は検索して吟味できるからです。
情報整理上手になる3つのポイント<まとめ>
〔1〕「不満」や「不安」をフォルダ名に
一度アクセスした情報は、フォルダ分けしてみる。その際のフォルダ名は「人に嫌われたくない」「やせたい」など、その情報にアクセスしたきっかけである「不満」や「不安」に焦点を当ててみると、自分が求めている情報が何なのかがわかる。このほか、Evernoteなどのツールを活用し、オフラインで情報が取り出せるようにしておこう。
〔2〕業務中はオフラインで作業する
「ついついネットを見てしまう」と業務が滞るのは必然。これを避けるにはオフラインで作業することが鉄則だ。資料を作成するときにはネット上の調査資料などをグラフ化する場合もあるだろうが、図やグラフは資料のレイアウトが決まって最後に準備すべきもの。最初に検索するのではなく、入れるべき場所が整ってから探すのが良い。
〔3〕ネットを見る際は時間を区切る
ネット閲覧時に時間を制限するほうがいいのは、頭ではわかっていても実践していない人が多い。1つの問題につき検索時間は50秒と心得よう。1ワードにつき2回は検索できる。佐々木氏によれば、最初に30分と見積もると30分に近い側からしか減らしていけないが、50秒と見積もると、50秒以上かかっても、簡単に30分には近づかないそうだ。
もう1つ、メールも情報の1つですが、このやり取りに時間を使いすぎてしまう人も多いようです。また、必要なメールがいざというときにすぐ検索できない、という話も聞きます。これも、フォルダ分けして整理することで、のちの業務がスムーズになります。
私がお勧めしたいのは、メールを次の5種類のフォルダに分類する方法です。
(1)資料……資料になるメール。Evernote等にコピーしてアーカイブ
(2)返信……返信が必要なもの。同じ相手に対して1日に返信する回数を決めておくこと
(3)返信済み……即返信が来たメールで、1日の上限回数を超えたもの
(4)あとで見るメール
(5)タスクリスト……セキュリティ強化のお知らせ等、のちにアクションを起こす内容のもの
このいずれにも分類できない情報は、不要ということになります。その日のうちにフォルダ分けして、業務終了時には受信フォルダにメールのない状態、つまりインボックス・ゼロにすることを目指しましょう。
佐々木正悟 (ささき・しょうご) 心理学ジャーナリスト
1973年、北海道生まれ。獨協大学卒業。2001年アヴィラ大学心理学科に留学、2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』(日本実業出版社)、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)、『デジタルでスッキリする書類整理ハックス』(ソーテック社)など多数。セミナー「タスクセラピー」を主催。
ブログ「ライフハック心理学」http://mindhack.sakura.ne.jp/
<掲載誌紹介>
<今月号の読みどころ>
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更新:11月22日 00:05