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自分は頑張っているのに... 過剰な自己評価に気づくためのチェック5選

白石慶次(非認知能力トレーナー)

自分は頑張っているのに... 過剰な自己評価に気づくためのチェック5選

自分では長所だと思っていることが、周囲には短所として映っていることがある。仕事や人間関係を好転させるために欠かせない「他者評価を含めた自己理解」の重要性を解説してもらった。

※本稿は、白石慶次 著『「好かれる人」のこれだけ いつも選ばれる人に変わる非認知能力のトリセツ』(すばる舎)の内容を一部抜粋・編集したものです。

 

自己理解の本質とは

多くの人は、「自分を理解すること(自己理解)」を「自分の内面を深く知ること」だと考えています。

確かに、自分の性格や感情のクセ、価値観、才能などを把握しておくことは大切です。

しかしながら、自己理解の本質はもっと立体的で、もっと社会的なものです。

本当の自己理解とは、“自分がどう見られているか?”という他者評価を含めて、自ら理解できている状態です。

なぜなら、人間は他者評価を避けては生きることができない、社会的な生物だからです。

どれだけ「他人がどう思うかなんて、私は気にしない」と言ったとしても、現実の社会では、他者からの評価・信頼・好意・不信・期待・誤解といった、“他者からのまなざし”を避けて生活することはできません。それらの他者評価は、常に自分の人生に影響を与え続けます。

昇進や仕事の依頼、チャンス、信頼、人間関係の満足度...すべては「自分が他者からどう見られているか」の影響から逃げられないのです。

「他者評価なんてどうでもいい状態」は、哲学的にはありえても現実には成立しません。

さらに言えば、たとえ本人が「他者評価になんて興味がない」と思っていても、周囲は勝手にあなたを評価し、その評価によってあなたの未来の一部は勝手に決まります。興味があろうとなかろうと、現実的に他者評価はあなたを動かしてしまう“社会の力”なのです。

特にビジネスの世界では、他者評価しか意味がない、と言っても過言ではありません。

自分で「よくできた」「頑張った」と評価しても、取引先や上司が「できていない」と感じたなら、ビジネスではそちらのほうが“事実”となります。

「こんなに頑張っているのに」「自分ではできているつもりなのですが...」といった自己評価は、残念ながら職場ではほとんど影響しません。

 

見られ方のズレは他者のなかにある

なぜ自己評価だけでは不十分なのか、もう少し深掘りしてみましょう。

人間は「自分が思う自分」と、「他者が見ている自分」の両方を材料にして、初めて現実的な自己理解をつくることができます。そのため、後者を無視していると、自分の姿が“自分のなかだけで完結したイメージ”に歪んでいきます。

この歪みこそが努力の方向性を狂わせ、評価を下げ、信頼を損ない、「頑張っているのに報われない人」を量産してしまいます。

たとえば、あなたが「自分は仕事が速い」と思っているとします。

しかし、他者からは「決して速くはない」「段取りが甘い」と評価されていたとしたら、本来あなたがすべき努力は“スピードと段取りを改善する努力”です。

ところが、自己評価がズレていると「私はスピードは十分だから、次は品質を上げよう」と、まったく別方向に努力してしまいます。結果、スピードが遅いまま品質にこだわるので、周囲からはますます仕事が遅く見え、評価は下がる一方です。

このように、自己評価と他者評価のズレは、本人の努力を逆方向に向かわせてしまう原因となります。努力の量が問題ではなく、努力の方向が問題です。

他者評価を無視すると、自己理解は必ず歪みます。

自分は落ち着いていると思っていても、他者は「こちらのことには興味がなくて、どうでもいいと思ってるんだろうな」と感じるかもしれません。

自分は積極的だと思っていても、他者は「出しゃばりで、自己アピールがキツいな」と思っているかもしれません。

自分は柔軟だと思っていても、他者は「頼りない」と見ているかもしれません。

こうした“見られ方の誤差”は、本人がいくら内面を整えても消えません。

なぜなら、その誤差は他者の世界のなかに存在するからです。

だからこそ、他者評価を取り込んだ自己理解こそが、唯一「現実のあなた」を映し出す鏡になります。

 

2つの評価を両取りすべし

では、自己評価と他者評価が一致すると、何が起きるのでしょうか?

自分の強みがどこで発揮されているかがわかり、自分の弱みがどこで邪魔をしているかがわかるようになります。

また、どの行動がもっとも効果的か、どの姿勢が信頼につながっているかがわかるようになります。

結果、あなたのする努力が“報われる方向”に集約されていき、人生が好転したり、仕事で成果を上げたり、人間関係のなかで好かれる人に変わったりできるでしょう。

だからこの一致は、あなたの人生にとって大きな分岐点となります。

自己理解の本質は、内面分析ではありません。「自分はこうだ」という自己評価と、「他者からはこう見えている」という外側からのリアルな他者評価、この2つが一致したとき、あなたは初めて社会のなかでズレずに生きられるようになります。

人はひとりでは生きられません。

そして、誰もが“他者のまなざしのなか”で生きています。

この現実から目をそらした瞬間、努力はズレ、評価はズレ、未来もズレていきます。

だからこそ、自己理解には必ず他者評価が必要なのです。

 

リアルな他者視点を入手する

では、具体的にはどのようにすれば他者評価を知ることができるのでしょうか?

もっとも強力かつ簡単な方法は、各種の「無記名アンケート」ツールを使うことです。

たとえばグーグルフォームなどの無料ツールを使えば、“いますぐ・0円で・誰でも・簡単に”他者評価を集めることができます。無記名で行えば、あなたについて周囲がどのように見ているのか、本当の姿が露わになります。

人は、対面ではなかなか本音を言いません。

特にその人の内面や繊細な部分について触れるような発言はめったにしません。

相手を傷つけたくないし、気まずくもなりたくないし、関係が壊れたら困るからです。

あるいは、本音を言ったあとの相手の反応が怖いのです。場合によっては怒り出したり、泣き出したりして、自分にも不利益があるかもしれません。

こうした心理が働くため、強く感じていることほど、相手には直接は言えない構造になっています。

ところが無記名になると、周囲の人は“あなたのために”正直になれます。

建前が消え、配慮のフィルターがはずれ、あなたにとってはもっとも必要な“本音の視点”が出てくるのです。

つまりは、「無記名=もっとも本音に近い他者評価が手に入る」ということです。

ここで、アンケートの効果を100倍にする方法をお伝えしましょう。

周囲の人にアンケートを送る前に、まずはあなた自身が、そのアンケートに“自分で回答”してみるのです。このステップを入れるか入れないかで、大袈裟でもなんでもなくアンケートの効果が劇的に変わってきます。

これは同じ質問を使って、あなた自身の「自己評価」を把握するためのステップです。

そのうえで、周囲の人にもアンケートを送り、協力を依頼します。

このとき返ってくるのは、純粋な「他者評価」です。2つの結果を比較することで、あなたと周囲との認識のズレが衝撃的なほど明確に浮かび上がるでしょう。

 

アンケート実施のコツはこれ!

具体的な質問例も紹介しておきます。これらの質問をアンケートにすれば、“あなたについての全体像”がスムーズに浮き上がってきます。

質問例①私は、あなたから見て、どんな人に見えますか?
 →ぱっと見の印象、普段のふるまい、コミュニケーションのクセなど。
質問例②私の改善したほうがいいところはどこですか?
 →ひとつだけでOK。複数回答も歓迎。
質問例③私にもっと期待していることはなんですか?
 →もっとこうしてほしい、こう動いてくれたら嬉しい、伸びしろを感じているところなど。
質問例④前から言いたかったけど言えていなかったことはありますか?
 →これが、もっとも周囲の人の本音を引き出す“神質問”です。
質問例⑤私の強みだと思うことはなんですか?
 →どんな部分を信頼しているのか、続けてほしいふるまいなど。

この5つを聞くだけで、あなたが周囲の他者からどんな人間として評価されているのか“立体的な見られ方マップ”が完成します。

では、アンケートは誰に送ればいいのでしょうか?お勧めは次の“3方向”です。

①あなたをよく知る人(家族・同僚)→あなたのクセや裏側がわかる
②適度な距離の人(友人・取引先)→印象・空気感がわかる
③あなたを評価する立場の人(上司・クライアント)→信頼・成果・期待がわかる

この3方向の声がそろうと、あなたの気づいていない「見られ方の真実」が一気に明らかになります。

人数は多ければ多いほど望ましいのですが、少なくとも3方向それぞれに1名ずつはほしいところです。

次ページに、そのまま使える「依頼メッセージ」のテンプレートも用意しましたので、対応の依頼時にコピーして使うと便利です。

実はこうしたアンケートを依頼する時点で、すでにあなたは成長し始めています。

主体性、問題解決、謙虚さ、勇気、課題への向き合い方や他者を尊重する姿勢...こうした力を使っているのです。つまり、「アンケートを依頼する」という行為そのものが、あなたを成長させ、あなたの見られ方を変え始めているということです。

無記名アンケート依頼テンプレート

プロフィール

白石慶次(しらいし・けいじ)

非認知能力トレーナー

大学卒業後、システムコンサルティング会社に入社。多様な大規模プロジェクトに携わる一方で、人材育成業務にも従事。富士通ラーニングメディア認定講師として活躍したのち、30歳のとき企業研修講師として独立。一般企業に加え、官公庁・自治体、学校法人、医療法人でも研修実績を持つ。
新卒時、大企業に就職できなかった劣等感から、ビジネス書や自己啓発書を読み漁り、さまざまな資格も取って仕事に打ち込む。それでも状況が好転せず悩んでいた折、“非認知能力”に出会い、スキルやノウハウだけが人生や仕事の成果を決める要素ではないと気づく。その後、非認知能力の研究と実践を重ね、「大人の非認知能力育成プログラム」を開発し、これまで5,000名以上に提供してきた。大学との産学連携・共同研究により、講座の有用性について学術的な検証も進めている。
2025年末にお笑い芸人トンツカタン森本氏と開始したポッドキャスト番組『学校では教えてくれない“見えない力”の授業 〜大人の非認知能力〜』は、開始2ヶ月でApple Podcastのビジネスランキング第1位を獲得した。

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