
アットホームな職場ほど、
※本稿は、西原亮 著『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』(ダイヤモンド社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
企業の採用イベントや入社説明会でよく目にするのが、「うちはアットホームな会社です」「メンバー全員が仲が良いのがウリです」というアピールです。
しかし、私は断言します。組織において「仲の良さ」は、重要視すべき点ではありません。
そもそも「仲が良い」とは誰の主観でしょうか?上司が勝手に「私たちは仲が良い」と思っているだけで、部下は冷めた目で見ているケースは山ほどあります。モチベーションと同様に、「仲の良さ」は測れません。
また、冷たい言い方に聞こえるかもしれませんが、会社は「サークル活動」ではありません。共通の目的(利益・価値提供)のために集まったプロフェッショナルの集団です。「楽しいかどうか」よりも、「成果が出るかどうか」でつながるのが健全な組織です。
「仲の良さ」を過剰にアピールする組織ほど、実は危険です。なぜなら、「波風を立ててはいけない」という同調圧力が生まれ、本来言うべき厳しい指摘ができなくなるからです。
では、上司として何を目指すべきか?それは、「仲の良いチーム」ではなく、「陰口のないチーム」をつくることです。
陰口とは「当人のいないところで悪口を言うこと」です。これは組織人として、横領や不正に次ぐ「最悪の行為」だと認識してください。
私が運営するSNSのライブでも、このような相談が後を絶ちません。
「上司が他のメンバーの悪口を私に言ってきて、同意を求められる」
「あの上司は、私のいないところでは私の悪口を言っているに違いない」
上司が陰口を言った瞬間、チームの信頼関係は崩壊します。
部下は、上司に悪口を言われたら「そうですね(苦笑)」と同意するしかありません。しかしその裏で、「この人は、私がいないところでは私の悪口を言っているんだろうな」と確信します。結果、疑心暗鬼が生まれ、誰も本音を話さなくなり、心理的安全性が地に落ちるのです。
だからこそ、強いチームをつくるためのたった一つのルールは、「陰口を叩かない(言わせない)」ことです。
では、「陰口のない本当に強いチーム」とはどのような状態でしょうか?
ここで、チームの関係性を整理するために、「指摘の有無」と「人間関係の状態」で3つのパターンに分類してみましょう。
1:仲良しチーム(指摘しない×関係良好)
多くの「仲の良い」組織がこれです。人間関係を壊したくないから、相手のミスや改善点を見ても見ぬふりをする。会議ではニコニコしているけれど、給湯室や飲み会では「あの人のあのやり方、変だよね」と陰口大会が開かれる。これではいつまでたってもプロフェッショナルとして成果を挙げることはできません。
2:崩壊チーム(指摘する×関係悪化)
言うべきことは言うけれど、言い方が攻撃的だったり、人格否定が含まれていたりして、人間関係がギスギスしている状態です。成果への圧力はあるものの、メンバーは疲弊し、離職が止まりません。
3:本当に強いチーム(指摘する×関係良好)
これが、目指すべき姿です。業務上の改善点があれば、相手に対して面と向かって「それは違う」と指摘ができる。しかし、それは「仕事」に対する指摘であり、「人格」への攻撃ではないという共通認識があるため、人間関係は壊れない。むしろ、「自分のために言ってくれた」という信頼が積み重なり、関係性はより強固になります。

この「強いチーム」をつくるために、上司がやるべきことはシンプルです。
1:上司自身が、絶対に陰口を言わない
どんなに腹が立っても、本人のいない場所でネガティブな発言をしない。これを徹底するだけで、チームの空気は変わります。
2:部下の陰口を、「相手に直接伝える」サポートをする
もし部下が「Aさんのやり方がおかしいんです」と陰口を言ってきたら、こう返してください。「わかった。それはAさんの成長のために必要なことだから、次の会議で直接Aさんに伝えよう。私もサポートするから」陰口を「告げ口」として終わらせず、本人への「フィードバック」に昇華させるのです。「陰で言うのはダサい。本人に言うのが誠実さだ」という文化を、上司であるあなたが示してください。
更新:08月25日 00:05