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整形外科専門医が指摘 「首の痛み・コリ」を引き起こす2つの要因

2026年06月25日 公開

吉原潔(整形外科専門医)

スマホやパソコンを見る時間が長くなり、首の重さや肩のこわばりを感じる人は少なくありません。何気なく続けている姿勢が、思っている以上に首へ負担をかけている可能性があります。現代の生活習慣と首の不調の関係について、書籍『首の痛み・コリ・しびれ 自力でできるリセット法』より解説します。

※本稿は、吉原潔著『首の痛み・コリ・しびれ 自力でできるリセット法』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

スマホを使うと、27㎏の重りが首に乗る!?

スマホ使用時の首の角度と、首にかかる負担

あなたの頭は、どのくらいの重さがあると思いますか。

答えは4〜6kg。ボウリングの球とほぼ同じくらいの重さです。片手でしばらく持ち続けるだけでも、ずっしりと感じる重さです。それを、首は日常的に支え続けています。

ただし、これはまっすぐ立った姿勢での重さです。首を前に傾けると、その負担は大きく増えていきます。

左ページの図をご覧ください。これは、ニューヨークの脊椎外科医ケネス・ハンスラジ(Kenneth Hansraj)医師の研究で、頭を前に傾ける角度が大きくなるにつれて、首にかかる力(負荷)が増加することが示されています。

具体的には、頭を前に15度傾けると約12kg相当、30度で約18kg相当、45度で約22kg相当、そして60度では約27kg相当の負荷が首にかかるとされています。

長時間にわたって下を向いたり、前かがみの姿勢でスマホを操作したりすることは、首にボウリングの球を何個も乗せた状態に近い負担をかけ続けている、ということになるのです。

ほかにも、パソコン作業やアイロンがけ、掃除など、前かがみになる場面はたくさんあります。

しかし、特にスマートフォンの使用や長時間のデスクワークは、痛みやコリの大きな要因になるといえます。それは、次のような理由からです。

 

・スマホやパソコンの画面を「覗き込む」から

スマホやパソコン画面を見るとき、つい顔を近づけてしまいがちです。その結果、頭が体の前方に出た姿勢になりやすくなります。また、スマホ操作では持ち方にかかわらず画面を注視する時間が長くなるため、肩が内側に入りやすく、猫背や巻き肩の姿勢になりがちです。

背中が丸まり、首から肩にかけての筋肉がこわばりやすい条件がそろっています。

 

・「同じ姿勢」で使い続けるから

スマホは座って使っても、立って使っても、上半身の姿勢があまり変わりません。

デスクワークも同様に、長時間パソコン画面に向かうと、無意識のうちに姿勢が固定され、同じ部位に負担がかかり続けてしまいます。つまり、どんな状況でもほぼ同じ姿勢が続き、結果として首や肩の筋肉に負担が集中します。

前かがみの姿勢を続けることは、首を支える筋肉に長時間力を入れ続けているようなものです。そのような状態では、特定の筋肉が緊張し続け、痛みやコリが生じやすくなるのも不思議ではありません。

スマホやパソコンを長時間使うことが当たり前となった現在、姿勢がくずれた状態で作業を続けてしまう方が、少なくありません。こうした生活習慣の変化によって、首の痛みや不調を訴える患者さんが目立つようになったと感じています。

私が患者さんにお伝えするのは、「上を向く生活を意識しましょう」ということ。スマホやパソコンを見るときは、できるだけ目と同じ高さに近づける、ときどき画面から目を離して遠くを眺める、深呼吸をして肩の力を抜く、意識的に休憩時間をとり首や肩を軽く動かす。そんな小さな工夫で、首への負担はぐっと軽くなります。

 

自覚症状のないストレートネックも

正常な頸椎(左)とストレートネック(右)

「ストレートネック」、あるいは「スマホ首」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。近年、たびたび話題にのぼる状態で、首の骨(頸椎)の並びが本来のゆるやかなカーブを失い、定規のようにまっすぐになった状態を指します。

上のレントゲン写真をご覧いただくと、その違いがわかりやすいでしょう。

右の写真は首の骨が一直線に近い形で並んでいる様子が、はっきりと確認できます。首の骨は「頸椎」と呼ばれ、7つの骨が積み重なるように連なって頭を支えています。本来、頸椎は前に向かってゆるやかなカーブ(前弯)を描き、頭の重さを分散させています。

しかし、そのカーブが失われると、頭の重さをうまく分散できず、首全体、特に首や肩を支える筋肉に負担がかかりやすくなります。その結果、首や肩の筋肉が過度に緊張し、こり固まってしまうのです。

ストレートネックを引き起こす最大の要因は、やはり姿勢です。特に、下を向いた姿勢を長時間続けることは大敵。そんな姿勢が習慣になると、本来は前にゆるやかなカーブを描いている頸椎が常に前に倒れて、頸椎本来のカーブが保てなくなるのです。

実は、ストレートネックだからといって、必ずしも首の痛みや不調が出るわけではなく、自覚症状のない方も少なくありません。

とはいえ、首まわりの筋肉に負担がかかりやすい状態であることは確かで、そのまま放置するのはおすすめできません。

 

プロフィール

吉原潔(よしはら・きよし)

整形外科専門医

整形外科専門医・フィットネストレーナー。医学博士。アレックス脊椎クリニック名誉院長。日本医科大学卒業後、同大整形外科入局。帝京大学医学部附属溝口病院整形外科講師、三軒茶屋第一病院整形外科部長、アレックス脊椎クリニック院長を経て、2024年より現職。日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会( NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。運動療法や筋力トレーニングにも精通した医師として、多角的な診療に定評がある。トレーナーとしての信条は「ケガをしないトレーニング方法を指導すること」。50歳を過ぎてから筋トレでメタボ体型を脱し、ボディコンテストに出場、受賞歴多数。著書に『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』『疲れない、回復できる、速く・長く歩ける 体力低下を食い止める30秒習慣』(ともにアスコム)などがある。

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