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預金1,000万円でも「物々交換」時代に逆戻り? グレートリセットで変わるお金の常識

小林大祐(不動産投資家・実業家)

「2035年 増える富・消える富」

資産形成YouTuber「不動産アニキ」としても活躍する、不動産投資家の小林大祐氏。小林氏は、お金が意味をなさなくなる「グレートリセット」実現の可能性を示唆する。その根拠は何か。解説してもらった。

※本稿は、小林大祐著『2035年 増える富・消える富の見分け方 インフレ地獄を生き抜く資産戦略』(KADOKAWA)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

※本稿は2026年3月時点の情報に基づき著者の考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入を含む投資の判断はご自身の責任で行なうようお願いいたします。

 

通貨が崩壊し「お金」が紙くずになる日が来る

近年の急激なモノの値上がりは、約30年にわたってデフレマインドにどっぷり浸かってきた日本人に強烈なショックを与えた。日本人は速やかにデフレマインドを捨ててインフレマインドに切り替えるべきだが、それでも十分ではない。突然のインフレ到来は、来たる「グレートリセット」の予兆に過ぎないからだ。

グレートリセットとは何か。一般的には社会を構成する金融や社会経済などのさまざまなシステムを一度すべてリセットして、再構築を余儀なくされる事態だと言われている。既存の金融システムが根本から見直され、場合によっては機能停止してしまう可能性を示唆する言葉として語られている。

最近の例では、「100年に一度の金融危機」と言われ、さまざまな金融規制や脱グローバル思考の契機ともなった2008年のリーマンショックや、2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大が契機となったパンデミックが、グレートリセットだったといえるだろう。

リーマンショックは、今の日本でいえば三大商社のような、高収入で社会的ステータスも高く、名刺を持っているだけでモテ確定だった証券大手「リーマン・ブラザーズ」という会社が破綻したことが、直接の契機だった。

その衝撃が世界中に伝播して経済はボロボロになり、失業者があふれ(リーマンショック翌年の2009年7月には、失業率は5.5%と戦後最高水準)、株価が半分(2007年10月9日の1万4164ドルから、2009年3月9日には6547ドルまで下落し、下落率は約53.8%)になってしまったのだから、そのインパクトたるや半端ない金融危機だった。

当時の日本では今ほど株式などのリスク投資が一般化していなかったので、資産が半分になったという人はそれほど多くなかったかもしれない。それでも、あらゆる業種で需要が激減し、雇用環境も悪化したので、不況を肌で感じた人は多かったはずだ。

比較的記憶に新しいパンデミックも同様で、生活や価値観がガラリと変わった。今はもうステイホームなどする必要はなく、また飲み会もイベントもできるようになったとはいえ、会議やショッピングなどは一気にオンライン化が進み、この時に変化した私たちの行動は〝コロナ前〟には戻っていないし、もう戻らないものがたくさんある。

そして今、突然のインフレが到来したことで、私たちの消費やお金に対する価値観が強制に近い形で変えられようとしている。このインフレは、これからやってくるであろうグレートリセットの前触れにほかならない。

私は一介の事業家に過ぎないので、次に起こるグレートリセットの中身や時期を言い当てることなどできないが、もはや現状の通貨、すなわちお金が意味をなさなくなるくらい大きな価値観の変化があるかもしれないと考えている。

お金など紙くず同然になって、通貨という存在がなかった太古の昔の、自給自足や物々交換の時代が再びやってくるような社会の大転換が起こっても、おかしくはないのだ。

 

物々交換の時代に逆戻りする?

これはモノのたとえなどではなく、本当に「物々交換の時代」が来る可能性があると私は本気で考えている。要は、お金などいくら持っていたところで意味をなさなくなり、自給自足しないと生きていけない時代が来るということだ。

歴史を振り返れば、人類の始まりはそういう時代だった。人は狩猟採集の社会で自身と家族を養うために、魚を釣って動物を捕らえ、それを食べて生きてきた。

しかし、それだけだと非効率で、この先の生存が難しかったので、多くの人が協力して生きていく共同体が誕生した。そこから農耕を始めたことで食料が安定して供給できるようになり、人類は発展を始めた。

このとき、社会は自給自足から物々交換の世の中に移行し、狩猟がしやすいところに住む人々は動物の肉、農耕に長けた部族の人々は米、海の近くに住む人々は魚などを持ち寄り、交換し始めた。これが物々交換の始まりだ。

しかしそれだけでは保存もきかないし、いつも都合良く物があるわけではないので、貝殻などを貨幣の代わりに使い始めたのが通貨の始まりだ。貝殻そのものに価値はないが、貝殻を価値があるものと交換できるという「信用」をやりとりするようになったわけだ。

これがのちの「金本位制」につながることになる。近代以降、貨幣の信用は金(ゴールド)と結び付けられた。通貨はいつでもゴールドと交換できるという前提が、国家や国際間での取引を支える信任の根拠となっていた。

しかし1929年の世界恐慌や1971年のニクソン・ショックを経て、世界はこの制度を事実上放棄した。貨幣はゴールドという実体の裏付けを失い、信用そのものに依存する存在になってしまった。

現在に至るまで、通貨には本質的な裏付けが存在しない状況が続いている。この貨幣という存在の意味を大きく変えた世界恐慌もまた、当時のグレートリセットだったのだ。

通貨の価値は、それを発行する国の経済力や信用によって支えられている。だから世界一の経済大国であるアメリカが発行する米ドルが基軸通貨として広くやりとりされており、また長い間アメリカに次ぐ経済大国の地位にあった日本の円も、そこそこ信用されてきたわけである。

私たちが今直面している問題は、この信用が揺らぎ始めているということだ。この先やってくるグレートリセットは、これまでのような通貨の信用がいよいよ失われる社会の到来のきっかけになるかもしれない。

それがどんな社会かというと、お店に1万円札を持って行って「1万円の商品を売ってくれ」と言うと、「それはただの紙なので、米か肉を持ってこい」と追い返される世の中だ。

約1世紀にわたって、当たり前のように機能していた信用を前提とした経済システムが、通用しなくなるかもしれないのである。

プロフィール

小林大祐(こばやし・だいすけ)

不動産投資家・実業家

富士ゼロックス関連会社を経て、富士ゼロックス本体(現・富士フイルムビジネスイノベーション株式会社)に勤務。27歳のときに兼業で起業し、現在に至る。創業から約20年間、金・コネ・知識のない状態から事業と投資を積み上げ、総資産37億1000万円、純資産25億円、借り入れ12億円、機動的資金8億円を構築(2026年1月時点)。現在は、不動産事業を中心に、資産保有設計、医師向け在宅療養支援診療所の開業・運用支援などを手掛け、グループ会社7社を経営している。自身の資産構築の実践経験をもとに、機動的資金5億円以上の超富裕層を対象として、相続税対策から資産の最大化、事業承継までを一気通貫で設計するファミリーオフィスおよび資産管理会社の運用代行を主な事業とする。YouTubeチャンネル「不動産アニキの非常識な投資学」は登録者数10万人を超え、不動産投資を中心に、資産形成の実践的な考え方や国際情勢に対する独自の視点が注目を集めている。

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