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「会社はもう守ってくれない」時代に...社外コミュニティが"一生モノの仕事"を運んでくる理由

嶋村吉洋(実業家・投資家・映画プロデューサー)

「億万長者のコミュニティ資本論」

これまで100件以上のビジネスを手掛けてきた嶋村吉洋氏は、「コミュニティ」の重要性を説く。なぜコミュニティは重要なのか。そもそもコミュニティとは何か。氏の著書『人生100年時代を生き抜くための億万長者のコミュニティ資本論』(プレジデント社)より解説する。

※本稿は、嶋村吉洋著『人生100年時代を生き抜くための億万長者のコミュニティ資本論』(プレジデント社)より内容を一部抜粋・編集したものです。

 

なぜ今、コミュニティが重要なのか?

「会社」という組織が、もはや万能のセーフティーネットではなくなっている――。そんな現実を、私たちは今、目の当たりにしています。

コミュニティがなぜ大切なのか――。

それは、結局のところ、どんなに優れた能力がある人も、一人きりでできる仕事には限界があるからです。

たとえば、30代でフリーランスのSE(システムエンジニア)として活躍するAさんの話をしましょう。彼女は、大人しくて控えめな性格から、自身のキャリアアップに対して消極的でした。職場の煩わしい人間関係を避けるため、正社員ではなく、フリーランスの事務職として働いていました。

しかし、ある日、キャリアアップに積極的に挑戦している人ばかりが集まるコミュニティに出会ったことで、彼女の人生は大きく変わりました。

コミュニティ内でSEとして活躍する仲間たちの影響を受け、自分もチャレンジしてみようと決意し、思い切って事務職からSEへの転職を成功させました。転職後は積極的に経験を積み、スキルと自信を深めていきました。

そして、再びコミュニティの仲間たちのアシストもあり、現在はフリーランスのSEとして独立し、多くのクライアントから信頼を獲得、常に需要のある存在として活躍しています。その結果、収入が安定し、孤独感も薄れ、人生が豊かになったと感じています。

もともと煩わしい人間関係が苦手でフリーランスになったはずなのに、まさか自分がコミュニティに助けられるとは思っていなかった、と本人も驚いています。

別の例として、コミュニティのつながりを活用して、自身がオーナーとして飲食店をオープンしたBさんの話をします。

彼は開店前から飲食コンサルタントの仲間の支援を受けて独自性のあるメニューを開発したり、コミュニティのメンバーの中からスタッフを募集したりするなど、コミュニティの力を最大限に活かして開業準備を進めました。

その結果、開店初日から多くの仲間やその友人・知人が訪れ、彼の提供する料理の美味しさを絶賛する口コミが瞬く間に広がり、店は開業初期から大繁盛となりました。その勢いは有名グルメ雑誌にも大きく取り上げられるほどです。Bさんはコミュニティのおかげで順調なスタートを切り、現在も安定した経営を実現しています。

このように、コミュニティは単なる「集まり」ではなく、メンバーの経済的な安定や精神的な支えを提供してくれるプラットフォームとして機能することがあります。

むしろ、デジタル技術が発達した現代だからこそ、リアルな人間関係を持続させ、さらに拡大・深化させていくコミュニティの存在は、以前よりむしろ重要になっていると言えるでしょう。

さらに、「人生100年時代」と言われる昨今、コミュニティの価値はますます高まっています。現在の日本では「平均寿命が延びた分、孤独なお年寄りが増えている」という話をよく聞きます。

年金問題や物価高から経済的な不安を抱えるとともに、定年後の社会とのつながりもなく、老いたまま一人で生きていかなければならない未来を想像すると、シニアの人々の悩みはかなり深刻なものではないでしょうか。

実際、孤独が原因でうつ病になったり、認知症が進んでしまったりする高齢者も少なくないそうです。2022年に実施された国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の調査によると、孤独感を抱えている人は、孤独でない人に比べて、うつ状態や不安障害を抱える傾向が約5倍も高いことが明らかになりました。

さらに、アメリカのフロリダ州立大学医学部が主導した、世界中の60万人以上を対象にした2024年の大規模なメタアナリシス(ある程度似ている研究の複数の結果を統合し、ある要因が特定の疾患と関係するかどうかを解析する統計手法)では、孤独感が認知症の発症リスクを31%増加させることが明らかになっています。

 

全国に存在するコミュニティの具体例

では、自分が属するコミュニティがあれば、どうなるのでしょうか。

コミュニティの中では、メンバーそれぞれの能力や人脈、経験などのリソースが集まり、相互に補い合うことで、一人ではできなかったことが実現できます。年齢に関係なく、他者との対話や協力を通じて新しいプロジェクトが生まれることも珍しくありません。

いくつか全国の事例をご紹介したいと思います。

 

【東京都世田谷区下北沢「BONUS TRACK」】

小規模店舗や住居が共存する複合施設で、若手起業家やクリエイターに場を提供し、地域とゆるやかにつながるコミュニティビジネスの実践例です。

2020年春、20~30代の若手起業家やクリエイターを中心に、リノベーションされた元社宅跡地に商店・住居・オフィスが融合した新しい街区が形成されました。

若年層と地域住民が対話しながら出店内容やイベントを企画し、世代・職業を超えた「まちづくりの協働」が起点となっています。

【福井県鯖江市「鯖江市役所JK課」】

地元女子高校生が地域課題に取り組むユニークな取り組みで、若者の視点を活かした商品開発やイベント企画を通じ、地域活性化を図るコミュニティビジネスの一形態です。市民参加型のまちづくりとして全国的にも注目されています。

2014年頃から、女子高校生が市役所で企画立案を行うプロジェクトが発足しました。

高校生(10代)と市職員(幅広い年齢層)が対等に意見を出し合う場として成り立っており、高校生が商店街の再生やイベントづくりに関わり、SNSでの広報にも貢献しています。

その結果、市民参加型のまちづくりとして全国的にも注目され、他自治体にも波及しています。

 

以上のような実例から考えると、コミュニティは単なる居場所ではなく、人生のさまざまな局面でメンバーの新しい可能性を生み出す場になり得ると言えるでしょう。

プロフィール

嶋村吉洋(しまむら・よしひろ)

実業家・投資家・映画プロデューサー

兵庫県出身。10代で起業し、現在はさまざまな分野で多角的に活躍中。投資家としては、サイバーエージェント、テレビ東京、朝日放送HD、オリコンなど数社の大株主となり、2025年9月末時点における総資産は数百億円に上る。また、ソーシャルビジネスコミュニティ「ワクセル」を発足。1,500名に及ぶコラボレーター(協力者)が参画し、100以上のプロジェクトを創出している。さらに、ワールドセールスを狙った映画製作においても、エグゼクティブプロデューサーとして関わった作品が、アメリカやヨーロッパ、韓国などの国際映画祭で受賞を重ね、最新作はネットフリックスで6か国の1位と2位、アメリカの配信で初登場第1位にランクインしている。著書に『となりの億万長者が17時になったらやっていること』(PHP研究所刊 ※「読者が選ぶビジネス書グランプリ2025」経済・マネー部門で第1位受賞)などがある。

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