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本当に再雇用でいいのか? 定年後のために今すぐ取り組むべき3つのこと

2025年09月19日 公開

大塚寿([有]エマメイコーポレーション代表取締役)

これまで長年貢献してきたのに、最近会社が冷たくなった──。そんなふうに感じている50代はいないだろうか。だが、50代のキャリアに詳しい大塚寿氏によれば、それは会社が変わったわけではないという。定年・役職定年が視野に入ってきた50代必読の「会社員人生の賢いしまい方」について、前後編にわたって解説する。

※本稿は前後編の前編です。『THE21』2024年10月号の掲載記事より、内容を抜粋・編集しています。

 

「モヤモヤの原因」を知ることから始めよう

50代が抱えるモヤモヤの根本原因

これまでバリバリ働いてきたのに、50代になった頃から「仕事へのモヤモヤ」が芽生え、いっこうに解消できない──。そういう方が大勢います。

その原因はたいてい、歳を重ねたことで知らず知らずのうちに「会社と自分」の関係性が変化したからです。読者の皆さんは以前同様に働いているつもりでも、年齢を重ねたことで少しずつ「会社側が中核と考える世代」から外れつつあることは、自覚しなくてはいけません。

中には「会社がどこかドライになった。変わってしまった」とおっしゃる方もいますが、そうではないのです。会社の側は特に何も変わっておらず、ただ「会社から見た皆さんの立場」が変わってしまっただけと言えます。

これまでは、会社からの辞令に従って成果を出していればよかったでしょう。しかし、50代以降は「会社がキャリアを決めてくれない」世代です。これに気づかず、若い頃同様に会社に尽くしてしまうことこそ、50代が抱えがちなモヤモヤの根本にある問題なのです。

 

50代がまずやるべき「自分自身」の棚卸し

ただ、このことを自覚できたとしても、それだけではまだモヤモヤは消えません。ミドルにとって「この先」の選択肢は、本当にごまんとあるからです。

単に「再雇用か転職か」という二択なら話は早いですが、実際には、転職するとして何をするのか、給与や福利厚生はどの程度まで求めるのか、親の介護や子どもの進学に支障は出ないかなど、考えなくてはならないことは山積みかと思います。

それならこのまま再雇用で、と思う方もいるでしょうが、こちらも想定以上に待遇が下がることが多く、何も吟味せずに選んでいい選択ではありません。会社によっては、給与が「新卒以下」まで下がることも、珍しくはないのです。

選択肢が3つや4つなら「これが一番マシだ」と簡単に選べるものですが、このように無数に選択肢があり、考えるべきことも大量にある場合、どの選択肢も「完璧ではない」ように思えてしまい、なかなか決断できないことでしょう。会社員として長年働いてきた方の場合、中には「自分の一存で何かを決めてはダメ」という意識が染みついている方もいるはずです。

そこでまず、皆さんに「今すぐすべきこと」を3つ、お教えしたいと思います。第二の人生を考える「スタートライン」に立つために、次のことに取り組んでみてください。

――――――――――――――
① 過去・現在・未来にわたる自分自身の棚卸し
② 自分を突き動かす「原動力」の洗い出し
③ 「バリバリ」と「やりがい」の理想のバランス
――――――――――――――

この中で特に重要なのは、①で挙げた「自分自身の棚卸し」です。これをする理由は「会社人間をやめ、素の自分に戻る練習」にピッタリだから。そのために、過去から少しずつ、丹念に棚卸しをしていきましょう。

 

思い出したくないことこそ「素の自分」に戻る鍵

それぞれの具体的な手順を解説します。最も重要な①ですが、まずは徹底的に過去を洗い出すことから始めてください。

最初にやるのは「自分がやりたかったこと」を、端から思い出すことです。入社する前、新卒の頃に思い描いていた夢や、中高生の頃の目標などを、少しずつ紙に書き出していきます。

人に見せるものではありませんから、恥ずかしく思わず、ひと通り書いてみるのが大切です。

次に、過去の自分が「できなかったこと」「悔しかったこと」を書き出します。これまたなんでも構いません。例えば私自身なら、「数学に苦手意識はなかったのに、確率と証明だけはてんでダメだった」とか、そういったことが挙げられます。

より個性が出やすいのは「悔しかったこと」のほうですね。一例ですが、中には「志望校に落ちたこと」よりも「志望校を変えてしまったこと」のほうをずっと悔しがっている人もいたりします。でも、それも洗い出してしまえば、「なら、もう一度その大学を受けてみよう」と再び目標に変わったり、逆に「もうこの歳だし、忘れよう」と吹っ切れたりするものです。

そして最後に、ぜひ「コンプレックスに思っていたこと」も思い出してみてください。

私の経験談ですが、以前お世話になっていたある企業の社長が、飲みの席で「身長がコンプレックスで、それを見返そうと頑張ってきた」とおっしゃったことがあります。それを聞いたとき、なんだかその社長の「ホンネ」を初めて覗けたような気がしました。コンプレックスにこそ、その人の「らしい部分」が垣間見えるものなのです。

できなかったこと、悔しかったことも含め、あまり思い出したくない過去にこそ、これまで会社に順応するため隠してきた「素の自分」に戻るための鍵が隠されているように思います。

そして、これら4つを書き出し、十分に「過去」を振り返ったら、次に「現在」を考えましょう。今やっている仕事の満足度を、100点満点で採点してみてください。そして、その理由も考えてみるのです。そうすることで、今の自分に客観的な目を向けることができます。

最後は「未来」です。どこに向かって、何を目指して進みたいのか、ここまで棚卸ししてきたことも踏まえて、ぜひ考えてみてください。

もし「やりたいこと」がぼんやりとでも見えているなら、ぜひ「何を」と「どのように」まで今考えておきましょう。教育者の藤原和博氏の言葉を借りれば、「何の屋台を引くのか」という話です。屋台は商いの最小単位。自分は何の屋台を引けるのか、あるいは引きたいのかを、ぜひ考えてみていただきたいと思います。

 

これからの原動力は「子ども以外」で考える

①を終えたら、次は②の「原動力の洗い出し」です。ここで注意したいのは、ぜひ「子どものため」以外で考えてみる、ということ。50代ともなると、きっと子どももあと数年で巣立つ年齢でしょう。今さら「子どものために改めて頑張ろう」と考えるより、もっと先々まで持ち続けられるような原動力を探していただきたいと思います。

例えば、私の周りでよくあるのは「故郷にUターンして、そこの振興に尽くす」というパターンです。中には町議会議員になって、地域のまとめ役を担っている方もおられます。なんでも、大企業で培った調整力が、思いがけず田舎で重宝される能力だったとか(笑)。もちろん、もっと気楽に「趣味に生きる」といったことでも構いません。

③の「『バリバリ』と『やりがい』のバランス」も、これからのキャリアの方向性を定めるために大変重要です。どちらか片方だけでいい、という方はまずいないでしょう。二元論ではなく、どのくらいの比率が理想なのか、どこに落としどころを設けたいのかを、今のうちにしっかり考えておくのが鉄則です。

定年後のスタートラインに立つための3つの行動

 

【大塚寿(おおつか・ひさし)】
(有)エマメイコーポレーション代表取締役。1962年、群馬県生まれ。(株)リクルートを経てMBA留学後、企業研修を展開するエマメイコーポレーションを創業。シリーズ28万部のベストセラー『40代を後悔しない50のリスト』(ダイヤモンド社)、『50歳からは、「これ」しかやらない』(PHP研究所)など、30冊以上の著書がある。

 

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