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趣味を副業にするには? 「ドローンサークルの活動」が仕事に繋がった経緯

2025年01月29日 公開

上村武生(フライングドリームス代表)

SHIGENO河口湖ハウス
空撮した映像を用いたPR動画の作成を依頼されることもある。写真は、テレビや映画で使われるハウススタジオ「SHIGENO河口湖ハウス」を空撮したもの

「好きなことや得意なことを活かした副業」に憧れを持っているものの、どうしたらそれが実現するのかわからない、という人は多いだろう。ドローンサークル「フライングドリームス」を立ち上げた上村武生氏は、趣味として始めたドローン活動が、カルチャースクールの講師などの副業につながってきたという。

※本稿は、『THE21』2024年2月号の掲載記事より、内容を抜粋・編集したものです。

 

趣味と実益を兼ねて退職金で初期投資

――上村さんはウェブデザイナーとしてお仕事をされる傍ら、ドローン撮影のサークル活動もされているそうですね。

【上村】ドローン撮影を始めたのは、2016年頃です。ドローンが登場したばかりの2010年頃は高価で気軽に手を出せるようなものではなかったのですが、5、6年も経つと、空撮もできるドローンが手頃な値段で手に入るようになっていました。

ドローン撮影は基本的には趣味として始めたのですが、仕事につながるといいなという気持ちもありました。私はウェブデザイナーをしているので、ホームページの写真を撮影したりすることもあったからです。

最初は何から始めればいいかわからなかったので、ドローンスクールに通いました。それが当時40万円もしたんです。ドローンも手が届く値段になっていたとはいっても、今と比べるとまだ高かった。たまたま当時勤めていた会社を辞めて、数十万円の退職金が出たところだったんですが、本当に全部使ってしまって、家族からは白い眼で見られました(笑)。

――40万円! ドローンスクールでは、どんなことを学ぶのですか?

【上村】ドローンを飛ばすには、操縦技術だけでなく航空法などで定められた様々なルールを学ぶ必要があります。ところが、当時はインターネットで検索してもドローンに関する情報は少なく、飛ばしてもいい場所を探すのもひと苦労。続けられないんじゃないかと不安になるほど情報がなかったので、技術や知識を学び、更にはドローン仲間も得たいと思い、ある団体のドローンスクールに入ってみたのです。

ですが、正直言ってその内容はまったく満足いくものではありませんでした。ドローンブームを見据えて、急いで開講した感じのスクールであり、学科の講師はドローンを飛ばした経験が豊富なわけでもなく、決められたテキストを読み上げるだけ。質問をしても、ちんぷんかんぷんだったりして。

一方で、仲間をつくりたいという目的は、別の団体が主催するドローンの法律関連のセミナーに参加したときに達成できました。そこで知り合った広告代理店勤務の人と団体を作りたいという話で盛り上がり、今の団体の前身を立ち上げたのです。

当初は空撮の依頼を受けて事業を行なう空撮チームを目指していたのですが、やはり、そう簡単にはいかず、団体の方向性を見直すことにしました。そこで、とりあえず事業化の話は置いておいて、非営利のサークル活動として再出発したのが、中高年向けドローンサークル「フライングドリームス」なのです。

 

会員同士で教え合い、学び合う仕組みに

――サークルではどんな活動をされているのですか?

【上村】年に数回ドローンで実際に撮影に行く空撮会のほか、勉強会や親睦会を開いています。

先ほどもお話ししたように、ドローンを飛ばすためには様々なルールがあり、その規制はかなり複雑です。せっかく購入したドローンをほとんど飛ばさずにやめてしまう人も少なくないほど。そこで、会員同士で飛ばせる場所の情報を交換したりするほか、初心者向けに基本的な操縦方法やドローン関連の法律を教える「独り立ち講座」を開いて、ドローンを始めるサポートなどを行なっています。

――サークルの会員は、どのような方が多いのですか?

【上村】現在会員は70名ほどで、年代は30代から70代までと幅広いのですが、多いのは40代から50代です。私は現在55歳なのですが、60代、70代になってもドローンを続けたいと思っているので、特に人生の先輩方がドローンを楽しんでいる姿は励みになりますね。職業は会社員、公務員、自営業など多種多様ですが、純粋な趣味として参加されている方が多いようです。

――当初予定されていたドローン撮影の事業化についてはいかがですか?

【上村】サークル仲間の知り合いの方などから、「PR用の空撮動画を作ってほしい」という依頼をいただくことがときどきあります。その場合は撮影から動画編集まで行なっています。

――ウェブデザイナーとしてのスキルも活きますね!

【上村】金額は少なくても対価をもらうようにしていますが、これは現金ではない場合もありました。例えば、老舗の手拭い屋さんからの依頼では、現金の代わりにオリジナル手拭いを100枚作ってもらいました。

今は事業化を進めるというよりも、サークル活動を盛り上げてドローンを楽しむ人を増やしていきたいという思いが強いのですが、同時に有料のサービスを増やしていこうとも考えています。というのが、やっぱり人は対価を払ったほうが、無料のときよりしっかり学ぼうとすると思うから。そのほうが、教える私たちの気持ちも引き締まります。

そうした有料セミナーも少しずつ始めていて、会員の方々に「どんなセミナーを受けたいですか?」とアンケートを取ったりもしています。すると、法律関連の知識ばかりでなく、操縦のコツや、空撮した映像の編集の仕方を学べる講座を開いてほしいという声も少なくない。ですから今後は、そうした講座もやっていこうと思っています。

ほかにも、日本全国のドローンを飛ばせる場所を一覧にしたフライトマップを作成して、有料で共有する計画もあります。会員が実際に行ってドローンを飛ばした場所の情報を出し合っているのですが、これも自分で探そうと思うとけっこうな手間がかかる、貴重な情報なんです。

現在はサークルの会員になるにあたって、入会費や年会費などは一切設けていないのですが、無料で閲覧するだけの人ばかりになってしまうと、団体として立ち行かなくなってしまう。そう考えて、サークルの運営費が捻出できる程度の有料化や、空撮会やフライングマップ作成の実行委員会の組織化も少しずつ進めています。

 

本格的な事業化も見据えドローン普及に貢献したい

――上村さんご自身は、現在はお仕事の傍らドローンに関する活動をされていると思いますが、今後はドローンに軸足を移していかれるのでしょうか。

【上村】定年後には、ドローンを使った事業のようなものをやりたいと考えています。

サークルも立ち上げて8年ほどになりますし、副業としてカルチャースクールでドローン講座の講師をやったりもしています。度々変わるドローン法に関する勉強も欠かしていません。

現在勤めているのは町工場のようなところで、もともとはインターネット関係の業務をやるということで入社したのですが、実際には会社のホームページの作成のほか、ネットショップを立ち上げたり、事務書類の作成などの総務の仕事をしたり、さらには配達や金属加工の作業を一部やったりと、色んなことをやっています。こうした「何でも屋」状態も、人数が増えていくサークルを運営していくうえで、無駄ではないと思っています。

いずれはドローンを使った事業も本格的にやっていきたいと思っていますが、当面はドローンの素晴らしさや空撮の世界をもっと身近に感じられる人が増えるよう、ドローン文化の普及に貢献していきたいですね。

 

【上村武生(うえむら・たけお)】
フライングドリームス代表。1968年、東京都生まれ。福祉業界、リラクゼーション業などを経て、WEB系のマルチクリエイターとなる。現在は、モノづくりの現場でWEB系はもちろん、事務から作業まで広範囲な仕事を手掛けている。休日を利用して、カルチャーセンターで「トイドローン入門」の講座を開催。2017年に、任意団体としてドローンサークル「フライングドリームス」設立。

 

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