会社のために働き続け、50歳くらいになると、人生後半戦のキャリアについて悩みを抱えるようになってくるものだ。しかし、自分でキャリアを切り拓こうにも、イメージが湧いてこない…。
研修や講演などを通して、そうした人たちを数多く見てきた前川孝雄氏は、その原因は「サードプレイス」を持っていないことにあると言う。
※本記事は、前川孝雄著『人を活かす経営の新常識』(株式会社FeelWorks)より、一部を抜粋・編集したものです。
これまで会社人間として懸命に働いてきた人ほど、自分の今後のキャリアをじっくり考える機会もなかったうえに、子育ては配偶者任せで家庭での居場所もなく、趣味や地域活動に打ち込む余裕すらなかったのではないでしょうか。
必定、会社を離れた後の自分の人生をイメージできず、モヤモヤとした葛藤を抱える人が増えています。
研修やコーチングなどで生の声を直に聴いていると、50代以降の職業人生を自ら切り拓き、働きがいをつかむ前提として、職場や家庭とも異なる、安心して自分らしく居られる第三の居場所(サードプレイス)作りが先決だと感じています。
もし、あなたが会社以外に居場所の心当たりがなければ、注意信号です。
デジタルネイティブである若者は、SNSの活用などで社外での友人・知人とのネットワーク作りに長けている傾向があります。終身雇用をもはや信じていない故に、プライベートな居場所を大切にする意識も強い。若者に学び、ミドルもサードプレイス作りを始めることです。
その気になれば、今からできることは沢山あります。趣味を見つけてつながりを求めたり、週末・夜間のスクールや大学・大学院などに通うのもいいでしょう。仕事での立場を離れ、ありのままの自分を出せる仲間を見つけることです。その努力を、会社にいるうちから始めましょう。
地場産業や地元密着の事業で地域に貢献してきた企業の皆さんは、近隣での知り合いも多いことでしょう。しかし、それが仕事を介しての人脈なら、退職とともに関係が変わります。
人生を豊かにする居場所づくりには、肩書き抜きで付き合えるご縁が大切です。だからこそ、仕事以外の共通項でつながれる仲間づくりを始めることをお勧めします。
仕事で忙しい最中には、サードプレイスの必要性は感じにくいものです。しかし、いざ会社を離れてから作ろうとしても、難しいものです。人間関係づくりには時間がかかります。今から意識して動きましょう。
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更新:01月18日 00:05