※↑(株)博報堂 ネクストキャリアデザインチームが開発し、社内のシニア研修等で活用しているコピー
100年という「時間軸の拡張」を意識することと共に大切なのは、仕事のために所属する「組織(会社)」の中に閉じることなく、「空間軸を拡張」することです。
かつて「就職」は、「結婚」になぞらえられる時代がありました。終身雇用がまだ信じられていたこともあり、就職先は、"生涯、添い遂げる"相手として、相思相愛を理想として語られていたものです。
しかし今や、終身雇用は幻想となり、仮に定年まで"勤め上げた"としても、まだその先に人生は続いていく時代になりました。
私がかつて所属していたリクルートは、ほとんどの社員が定年を待たず、新たなステージにチャレンジすることが当たり前の組織でした。リクルートを去っていくメンバーの多くは、その行動を「退職」とは言わず、「卒業」と称していました。
「結婚」は、生涯を添い遂げることを前提としているので、「卒業」することはありません。しかし、今や個人と会社の関係は、いつか「卒業」するものに変わってきたと言えるでしょう。それは、新卒で入社した会社で定年まで勤め上げる人も、転職などによって複数の会社を経験する人も同じです。「会社はいつか卒業する」のです。
そうした変化を意識すれば、40代・50代の世代の皆さんも今の会社の中に閉じた、狭い空間にとらわれることなく、会社の外の広い世界に目を向けていくことが求められます。
空間軸の拡張とは、仮に定年まで勤め上げたとしても、まだ人生が続いていくことを認識して、定年までの会社員としての人生をその先の人生につなげていくために、会社の内と外を含む、広い空間的な視界を持つことの大切さを示唆するものです。
ライフシフト・ジャパンでは、これまで数多くのライフシフターにインタビューを行なってきました。そのインタビューを通じて紡ぎ出したある種の共通項が「ライフシフトの法則」です。
「ライフシフトの法則」は、4つの法則で構成されています。
第1法則は、「5つのステージを通る」。これは、ライフシフターたちの変化のプロセスを表すものです。
①このままでいいのか、何かおかしいと「心が騒ぐ」ステージ。
②目的地は定かではないけど、何かをやってみようと「旅に出る」ステージ。
③自分が大切にしたいものに気づく「自分と出会う」ステージ。
④目的地を目指して、インプットや試行錯誤を重ねる「学びつくす」ステージ。
⑤過去を活かし、過去を捨てて新たな自分になる「主人公になる」ステージ。
ライフシフトの旅は、こうしたプロセスを通って、進んでいきます。
第2法則は、「旅の仲間と交わる」。ライフシフトの旅には、様々な「旅の仲間」が登場します。
①主人公に、自分が大切にしたいものを気づかせてくれる「使者」。
②目的地を目指して一緒に旅をしていく「ともだち」。
③前に進むために力を貸してくれる「支援者」。
④ものの考え方やあるべき姿を説いてくれる「師」。
⑤未来の社会や目指すべき生き方を唱える「預言者」。
⑥目的地にたどり着くヒントやアイデアをもたらしてくれる「寄贈者」。
⑦前に進もうとするときに、その想いや意思の強さを問う「門番」。
こうした「旅の仲間」との交わりを通じて、ライフシフトの旅は前に進んでいきます。
第3法則は、「自分の価値軸に気づく」。ライフシフト・ジャパンのワークショップでは、
①誰かのために役に立ちたい、何かに関わりたい、という「社会価値」。
②自分の志向や価値観、能力を活かしたい、という「個性価値」。
③生きていくうえで大切なことを起点としたい、という「生活価値」
の3つの領域の価値軸と向き合い、「これまで大事にしてきた価値軸」と「これから大事にしていきたい価値軸」の変化を考えることで、自分自身の価値軸への気づきを促します。ライフシフトとは、まさに「価値軸のシフト」なのです。
第4法則は、「変身資産を活かす」。抽象的な概念だった変身資産を具体的に把握するために独自開発した「変身資産アセスメント」により、変化を前に進める「心のアクセル」と変化を押しとどめてしまう「心のブレーキ」という両面から変身資産の状態を"見える化"。
それによって自分自身の「心のアクセル」と「心のブレーキ」の活かし方を見出していきます。ライフシフターたちは「心のアクセル」を活かし、「心のブレーキ」をコントロールすることで、ライフシフトの旅を前に進めているのです。
更新:12月04日 00:05