以上のような家計の見直しと、今ある資産の手堅い運用。50歳からでも、この2つを実践すれば、60代からのお金の自由度が格段に上がります。あくまで私の印象ですが、将来余裕のある暮らしのできそうな方々は、手取り収入の「15~20%」を積み立てに回しています。
様々な方法のうち、一番お勧めなのは、ご存じ「つみたてNISA」。年間上限40万円×20年=最大800万円の投資で得た利益が非課税になる制度です。
「iDeCo(個人型確定拠出年金)」も節税メリットの高い方法ではありますが、開始時の手続きに少々時間がかかるのが難点。つみたてNISAは簡単に始められるので、多忙な方に向いています。いつでも引き出せる「預貯金感覚」でできるのも良いところです。夫婦プラス、子供が成人していれば、「家族全員」で始めましょう。
つみたてNISAで取り扱われる投資信託は、積み立てに向く投資信託であるのも特徴。ひと昔前に手数料の高い、仕組みがわかりづらい投資信託が多かったこともあり、金融庁が誰でも投資信託を購入しやすい信頼性の高い仕組みを作っています。
一定の基準をクリアした投資信託だけが取り揃えられているので、失敗の可能性は抑えられるのです。では、その中でもどんな投資信託を選べばよいかと言うと、究極の分散投資である「全世界株式インデックスファンド」。すべての国の株式が入っていて安定性が高く、手数料もわずか。年平均で4%の利回りが期待できます。
最後に、まだ先の話ではありますが、退職金を受け取ったときに、金融機関の人がこぞって売りつけてくる金融商品には要注意です。
たいていは、手数料の高い投資信託と共にお勧めしてくるパターン。安易に判断せず、1年ほどは普通預金に預けておいて、計画を立て、少しずつ積み立てに回していくのが賢い方法と言えるでしょう。
(『THE21』2022年9月号特集「普通のサラリーマンが60歳までに『お金の自由』を手に入れる方法」より)
更新:11月22日 00:05