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元プロ野球選手・里崎智也が現役時代に「月10万円の貯金」を続けた理由

2023年08月04日 公開

里崎智也(野球解説者)

元プロ野球選手の資産

野球解説者として活動しながら、YouTubeなどで積極的にお金についての考え方を発信している里崎智也さんは、現役時代、毎月10万円をコツコツ積み立て貯金していたと言います。華やかなプロ野球の世界で、堅実な生き方を貫いてきた里崎さんのマネー観に迫ります。(取材・構成:林 加愛)

※本稿は、『THE21』2023年9月号特集「インフレ時代の『お金』の新常識」より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

ゴールがないとお金は貯まらない

――YouTubeなどでご自身のお金についての考え方を積極的に発信されていますね。現役時代、月々10万円を積み立て貯金していたと聞きました。とても堅実ですね。

【里崎】逆に、僕はわからないんですよ。皆さんは、いったい何にお金を使っているんですか。僕のお金の使い方は、「必要なこと」と「好きなこと」以外には使わない、というシンプルなものです。それ以外に使うこと、ないはずでしょう?(笑)

――ですが、ついつい無駄遣いをしてしまいがちです。

【里崎】なぜなんでしょうね。僕が思うに、「ゴール設定」をしていないからではないでしょうか。「自分がどうなりたいのか」という目的地がないと、今、何をするべきかもわからないですよね。結果、何にお金を使っているのかもわからなくなる。まずは、「どうなりたいか」を自問自答するのが第一歩だと思います。

――自分の価値観をお金に反映する。大きなテーマですね。

【里崎】人生で守るべきものは、大きく4つあると思っています。

1つ目は「お金」。これさえあればほとんどのことは実現します。
2つ目は「仕事」。稼ぎが少なくても、好きな仕事をできれば幸せという考え方です。
3つ目は「趣味」。この場合は、趣味の時間が取れないような忙しい働き方はしないことになるでしょう。
そして、最後が「家族」。家族のためなら、しんどいことでも乗り越えられます。

僕のような個人事業主であれ、会社員であれ、4つのうちのどれを最優先にして生きていきたいかを考えれば、自然と自分の価値観がはっきりしてくるはずです。

――里崎さんの場合は、やはり「お金」ですか?

【里崎】もちろん。ここさえ確保できれば、残りの3つもクリアできますから。お金があれば好きな仕事を選べて、仕事が趣味のような生活になり、家族にも不自由な思いをさせることはありません。

――お金があれば好きな仕事を選べるとのことですが、里崎さんはどのようにお金と向き合ってきたのでしょうか?

【里崎】現役時代から、僕のお金の使い方は「4・4・2の法則」に基づいています。収入のうち4割が税金で引かれて、4割が貯蓄、2割が自由という配分です。

この法則は、税理士の先生が「現役引退時点で貯蓄2億円を目指そう」とアドバイスしてくださったことがきっかけで生まれたものです。正確に言うと、すでに持ち家があるなら2億円、持っていなければ4億円を用意しようと。

――すごい金額ですが、なぜこの数字なのですか?

【里崎】「年収800万円の生活を40年間続けられる金額」を目指しました。40歳で現役引退するとしたら残りの人生は40年くらい。また、800万円の年収というと、税金を引かれて手取りは500万円ちょっとになります。「500万円×40年間=2億円」というわけです。

ちなみに、日本人の平均年収は400万円台ですから、引退後にまったく収入がなくても、それなりの暮らしができます。

――なるほど。現役引退後の人生のことも考えていたんですね。

【里崎】「働かずして」40年暮らせるところがポイントです。日本という国は、所得に対して税金がかかりますよね。働かなければ、当然、所得税はゼロ、住民税も健康保険料もごくわずか。しかも、児童手当などの諸手当はMAXでもらえます。億単位の資産があっても、です。

だから、引退後に、たとえ仕事がゼロになったとしても日本人の平均年収以上の生活ができることをゴールとしたわけです。僕が16年間の現役生活で稼いだ金額は約13億円なので、その4割を計算してもらえれば、目標達成できたことがわかると思います。

――見事にゴール達成ですね。

【里崎】そのおかげで、今は好きなことを言い、好きなことができています。仕事がゼロになっても困らないので、いたって自由です。

 

現役引退後に再び1億円プレイヤーに

――13億円はすごい金額です。1億円プレイヤーとして長年活躍された秘訣は何でしょう?

【里崎】好成績を上げることだけでなく、常に「自分の価値」を意識していました。毎年、契約更改の場では球団側の提示額に対して「なぜその金額なのか」を聞き、納得がいかなければ主張しました。自分の実績に見合う額でない限り、ハンコは押しませんでしたね。

――自分の働きを数値化して、交渉されたのですね。月々の定収入がある会社勤めの人には、持ちにくい発想かもしれません。

【里崎】いや、自分の価値、考えたほうがいいですよ。「あなたは何円?」と聞かれて、「○○円です」と即座に答えられるようにするべきです。ここが定まっていないと、相手の「言い値」で仕事をすることになり、自分の価値を落としてしまいます。

――現役引退後も、同じ考えで仕事をしていますか?

【里崎】はい。ですが、現役引退直後は、野球解説も講演の仕事も、依頼はすべて相手の言い値で引き受けました。初めての世界では、自分の価値がわからないので。

――現役時代とは対照的ですね。 

【里崎】ええ。安く、多く引き受けるスタイルです。ここで僕は3つの目的を設定しました。

1つ目は、相場を知ること。「この値段で、こんないい仕事をしてくれるなんて」と感謝されれば、だいたいの相場がわかりますよね。

2つ目は、数を多く受けてスキルを上げること。例えば講演なら、場数を踏めば踏むほど時間配分のコツがわかるし、聴衆の反応を読む力も上がり、その都度ブラッシュアップしていけます。

3つ目は、宣伝のため。野球解説の世界は横のネットワークが強いので、安く、多く仕事をこなせば「リーズナブルだが良い働き手だ」という評判がすぐに広がり、次の仕事につながっていきます。この調子で着実に仕事を増やしてきました。

――スキルも上がり、評判も上がり、相場もわかった、となると、言い値からは卒業を?

【里崎】もちろん。言い値で仕事をしたのは最初の1年だけで、あとはオファーが増えるに伴い、徐々に値段を上げていきました。「僕はアウトレットじゃないよ。専門店なんでセールもしないよ」と(笑)。おかげさまで、今は現役時代と同じくらいの年収を得ることができています。

――ゼロから自分の価値を高めてきたんですね。

【里崎】そうですね。自分の価値は自分で勝手に決められるものではありません。需要と供給で決まるものです。

「オファーが増えているということは、価値が高まっているということだ」と判断できて、初めて相手に要求できるんです。経験もスキルもないローパフォーマーなのに「吹っかける」ような人に仕事は来ないし、任されない。これは会社員でも同じですよね。

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著者紹介

里崎智也(野球解説者)(さとざき・ともや)

野球解説者

1976年、徳島県生まれ。鳴門工業高校(現・鳴門渦潮高校)、帝京大学を経て、98年に千葉ロッテマリーンズに入団、捕手として活躍。2度の日本シリーズ優勝に貢献、WBC日本代表として大会ベストナインにも選出される。2014年の現役引退後は野球解説者として活動しながら、YouTubeチャンネル「Satozaki Channel」を運営。著書に『シンプル思考』(集英社新書)などがある。

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