物価の高騰や円安を受けて、誰もが漠然と「お金に対する不安」を抱いています。そんな現代の日本人は、どうすれば資産を着実に増やしていけるのでしょうか? お金に関する考え方をまとめた著書がベストセラーとなった厚切りジェイソンさんに、節約の仕方や資産を増やす上で重要な考え方について語ってもらいました。(取材・構成:石澤寧 )
※本稿は、『THE21』2023年9月号特集「インフレ時代の『お金』の新常識」より、内容を一部抜粋・編集したものです。
――楽しく節約を続けるために、どんな工夫をしていますか?
【厚切り】僕は節約が楽しいからなぁ(笑)。趣味なんです。つまらないと思ったことがない。買おうとしたものが、思った以上に安く手に入ったら、本当に嬉しくて!
この前、いつも200円で買っている豆乳が、174円で売られていたんです。お店の棚に並んでいるだけ全部買って、それを家で積み上げて、うっとり眺めました(笑)。
妻もよく「こんなに大きな大根が100円だったよ!」なんて教えてくれるので、「すごいじゃん!」と喜び合っています。次女もそういう買い物が好きみたいで、よく家族で盛り上がっていますね。
――ご家族で節約が趣味なんですね(笑)。反対に、家族の中で「こういう無駄遣いはダメだよ!」などとけんかになることはないんですか。
【厚切り】価値観が同じなので、ないですね。
資産形成には、家族、特にパートナーと同じ価値観を持つことが、とても大切だと思います。これから結婚する人は、相手とお金の価値観が合うかどうかを絶対に確認したほうがいい。
――そこが合わないまま結婚してしまった人は、どうすれば...。
【厚切り】離婚だよ!
――(笑)。価値観を合わせる方法はないですかね?
【厚切り】無理です。早めに離婚したほうがいい(笑)。
そもそも、パートナーとちゃんと本音で話し合っていますか? お金のことに限らず、何か思うことがあれば、パートナーに伝えないと。そのとき、感情をぶつけるんじゃなくて、どうしてそう思うのか、理由をしっかり相手にわかるように伝えることが大切です。
そういったコミュニケーションは資産形成以前に大切なことですよね。できないなら、遅かれ早かれ価値観が合わなくなって、やっぱり離婚することになると思います。
――家族とお金の話でいうと、「子どもにお金で苦労させたくない」と考える親は多いですが、これについてはどう思いますか?
【厚切り】それは正しい考えだと思いますが、「子どもに苦労させないために、自分が頑張って働いて、お金を稼がないと」という意味なら、完全に間違っていますね。
子どもにお金で苦労をさせたくないのなら、お金についての考え方や価値観を伝えることが一番大切。それをしないで、稼いだお金を渡すだけなら、いくら親が頑張ったところで、子どもにお金について考える力は身につかないですよ。
――こういうことを聞くと、また叱られそうですが(笑)、節約しようと思っているけれど、途中で面倒になってなかなか続かない、という人もいると思います。
【厚切り】僕は節約するのが趣味だから、まったく面倒ではないし、むしろ楽しくて仕方ないんです。少ないもので安く楽しく暮らせると快感なんです。
人によって趣味も好みも性格も環境も違うから、みんなに「節約しようよ」なんて言うつもりは、これっぽっちもないんです。
みんながみんな必要最低限のものだけしか買わなかったら経済はまわらないし、全員が同じ生き方を目指したら、多様性がなくなって、世界がつまらなくなってしまう。
「自分にとって、これは価値があることなんだ!」と胸を張って言えるなら、それは素敵なお金の使い方ですよ。
僕が言いたいのは、「節約しろ、我慢しろ」ということではなくて、「自分の価値観や生き方に合うことに大切なお金を使っていきましょう」ということなんです。
本当は必要でもないし、欲しくもないものを買うために自分の時間とお金を使うことほど、もったいないことはないですからね。
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更新:10月14日 00:05