老後資金の確保と聞くと「投資」や「資産運用」が頭に浮かぶ。しかし、『今さら聞けない投資の超基本』著者の泉美智子氏によれば、毎年数十万の「使途不明金」がある家庭も多いのだとか。投資の前に手をつけるべき家計見直しのポイントや、老後資金確保の「目標」を明確にする方法について、泉氏に教えていただいた。
※本稿は、『THE21』2022年9月号特集「普通のサラリーマンが60歳までに『お金の自由』を手に入れる方法」より、内容を一部抜粋・編集したものです。
40代半ばを過ぎて50代ともなると、そろそろ「定年」や「老後」が見えてきます。しかし50代といえば、人によっては子どもの教育費がかさみ、住宅ローンの返済期間もまだ残っている時期。そんな時期に支出を減らし、手際よく老後の資金を積み増すには、どうするのがいいのでしょう。
まず収入を「増やす」方向なら、副業あるいは投資で、ある程度の時間を割き、リスクを負って増やしていくほかありません。特に投資の場合、それに先立つ元手(余裕資金)が必須です。
まずは、誰でもリスクゼロでできる家計分析をし、「増やす」ための余力を今以上に蓄えていくことから始めましょう。
さて、家計の支出を抑えるには、家賃や車関係費、保険など、金額の大きな項目から手をつけていくのが鉄則です。
というのも、日常生活でできる定番のプチ節約(飲み物はスーパーで安く買うなど)は、家計全体から見ると大した額にならないから。こうした少額の節約も大切ではありますし、それが楽しいという方ならいいでしょう。
しかし、小さな部分に拘泥しすぎるのは、時間効率の観点からするとNG。節約のための節約ではなく、より自由に人生を楽しむための節約に、取り組んでほしいと思います。
家計圧縮を実現するためのファーストステップとしてお勧めなのが、家族の「年齢表」を作ることです。表に、家族全員の年齢を書き込んでいきます。遠方の家族やペットなども入れましょう。だいたい20年後まで記入するのがセオリーです。
たったこれだけでも、自分や家族の先行きが可視化され、必要になるお金についても多くのことが見えてきます。自分が60歳になったとき、子どもは結婚していそうだろうか。両親の年齢、介護リスクとどう向き合うか、といった事柄です。
年齢表よりさらに具体的に考えるなら、図の下に家族ぞれぞれのライフイベントを、目安でいいので書き加えてみるといいでしょう。
定年退職や住宅ローン完済のタイミング、その後に満喫したい楽しみ、子どもの結婚や家の購入などの時期をざっくりでも予想できれば、いつまでに、どんなことができる程度のお金を確保すればいいのか、わかりやすい目標を立てることも可能です。
目標が具体的になれば、おのずと「節約」のモチベーションが上がるでしょう。
更新:11月21日 00:05