多くのミドルを悩ませる、寝てもとれないしつこい疲労。そんな「慢性的な疲労」を解消する食事の工夫について、疲労回復専用ジムのプロボディデザイナーとして活躍する松尾伊津香氏が解説する。(取材・構成:横山瑠美)
※本稿は、『THE21』2023年8月号特集「40代からの『脳・心・体』疲労回復術」より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「寝ても疲れがとれない」「脳が疲れている」といった症状が続く場合、体内の「活性酸素」がうまく除去できていない可能性があります。
活性酸素とは、ストレスなどに反応して体内で生成される物質。本来は免疫機能の維持に貢献する物質ですが、過剰に生成されると疲労や老化の原因になってしまいます。
これを打ち消す体内の「抗酸化酵素」は年齢と共に減っていきますので、特に40代以降は「抗酸化物質」を多く含む食材を意識的に摂ってください。
食事から摂れる代表的な「抗酸化物質」としては、ポリフェノールやカロテノイド、ビタミンCなどが挙げられます。これらを含む食材には色が濃い、香りが強いといった特徴があり、特に野菜類に豊富です。また、鶏むね肉やささみに多く含まれる「イミダペプチド」も優秀な抗酸化物質です。
身体の疲れが気になる方は、「血糖値スパイク」にも注意しましょう。これは言わば、血糖値の乱高下のことです。
例えば、空腹時にパンやご飯のような炭水化物を先に食べてしまうと、血糖値は急激に上がります。するとそれに反応してインスリンが一挙に放出され、今度は血糖値が急激に下がってしまうのです。
こうした血糖値スパイクは、イライラや集中力低下、倦怠感などの大きな原因になります。糖分を大量に含む清涼飲料水や缶コーヒーといった飲み物にも要注意です。
これを防ぐには、食事の最初に消化されにくい野菜類などを食べる「ベジファースト」を心がけ、血糖値の急上昇を抑えるのが効果的です。この「ベジファースト」は、かなり生活に取り入れやすい工夫ではないでしょうか。
食事の最初にしっかり野菜を摂れば、食物繊維や抗酸化物質も自然と摂れて、内臓疲労も緩和するはず。余裕がなければコンビニのサラダなどでもOKですので、まずはここから習慣化していただけたらと思います。
更新:11月21日 00:05