2023年07月05日 公開
2023年12月08日 更新
「最近どうも身体がだるい」「何となくお腹の調子が悪い」──。そんな漠然とした悩みを抱えながら働くミドルは少なくない。疲労回復専用ジムのプログラムディレクターとして、数多くのミドルと接してきた松尾伊津香氏は、そうした「内臓の疲れ」は食生活で改善できる場合がある、と語る。(取材・構成:横山瑠美)
※本稿は、『THE21』2023年8月号特集「40代からの『脳・心・体』疲労回復術」より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「起き抜けから身体が重い。内臓疲労かも」「飲みすぎで調子が悪い。こんなときはあとで内臓にも疲れが来る」「歳のせいか、最近内臓が疲れやすくて」...これらは、私が勤める疲労回復専用ジムのお客様から実際に聞いた言葉です。
ここ数年、ジムの現場で「内臓疲労」という言葉を耳にすることが増えました。医学的な定義づけはされていない言葉なのですが、これだけ広まっているのを見ると、疲れにも似た内臓の不調に悩む人は少なくないと感じます。
内臓疲労とひと口に言っても、お腹が重い、だるいといった曖昧な感覚から、胃もたれや腹痛といった具体的な症状が出る人まで、その内実は様々です。
もしお腹のどこか特定の箇所がひどく痛む、といった場合には、何か特定できる病気を患っている可能性がありますから、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
問題は、漠然と胃の辺りが重い、吐き気がするなど、特定の原因があるわけではない場合です。自覚症状としては明らかに不調を感じているにもかかわらず、病院での検査で「異常なし」と言われてしまったら、不安は増すばかりです。
こうした異常は、放っておくと慢性化して「全身の疲労感」になりかねません。当然、メンタルにも悪影響を及ぼします。内臓をいたわることは、身体はもちろんメンタルの調子を保つためにも大切なことなのです。
そんな「何となく不調」をケアするために欠かせないのが、「食生活の見直し」です。
まず、食べ物の消化と吸収、排泄を担う「胃腸」に負担をかけないような食べ方を心がけましょう。心配事があると胃がキリキリ痛むように、胃腸はストレスの影響がわかりやすく現れる、言わば「モノ言う臓器」です。次の3つのポイントを意識してください。
【1】胃腸のリズムに乗る
消化のための胃腸の収縮運動は、食事と食事の間の空腹期に、規則的に行なわれます。それを余すことなく消化に利用するには、毎食同じ時間に食べることが肝心。不規則な食事は消化のリズムを崩し、胃腸の不調を誘発してしまうのです。
また、食べたものの消化には、少なくとも3時間以上はかかると言われます。どんなに遅くとも寝る3~4時間前には夕食を終え、起きているうちに消化が終わるようにしましょう。
疲労を「緩和」する方法は数多ありますが、疲労を「取り除く」方法は睡眠だけ。質の良い睡眠を確保するためにも、食べてすぐ寝ることは避けてください。
【2】咀嚼なくして消化なし
食べたものは、口で噛み砕かれた後、胃で胃酸によって溶かされてから腸に送られます。しかし、私たちの多くは、最初の「よく噛む」が十分にできていないもの。すると必然的に胃の負担が増すことになります。自分が何回噛んでいるかを意識して、咀嚼回数を増やしましょう。
【3】腹八分目が最良の薬
胃腸の負担を減らすための最も有効な対策は「腹八分目」の心掛けです。食事と食事の間でしっかりお腹を空かせれば、腹八分目でも満足感を得られるようになります。
年齢を重ねると必要なエネルギー量は減りますから、今の自分にとっての適切な食事量はどのくらいか、一度見直してみてください。
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更新:11月21日 00:05