2023年07月07日 公開
2023年07月07日 更新
ここでもう一つ、リスクマネジメントのお話を。これから不動産事業をはじめたいという人や初心者大家さんは、「セミナーに参加して勉強しよう!」と考えることが出てくると思います。
もちろん、質の高いセミナーもあるのですが、無料のセミナーとなると注意が必要な場合もあるのです。
今回、拙著・『高い家賃なのにいつも満室になる人気物件のつくり方 一芸物件』の制作にあたり、担当編集さんが「おもしろそうなセミナーを見つけてきました! 参加して、勉強してみます!」とセミナーの案内を持ってきてくれました。
それは、「数カ月間、実際に大家業のシュミレーションができる」という内容の無料オンライン・セミナーでした。
ターゲットは富裕層の人々。ハードルが高く感じる不動産事業に踏み出しやすいようにと銘打ったセミナーで、数カ月間、既存のマンションのオーナーになり、家賃収入を受け取りながらローン返済をし、条件が整えば、数カ月経過後にそのままその物件を購入し不動産投資をスタートすることもできるという仕組みです。
受講料無料で、参加者には少額と思われますが、家賃収入が支払われる...、その時点ですでにアヤしいにおいがプンプンと漂っていました。これはおそらく、数カ月間でその気にさせて、そのまま物件を売るビジネスモデルではないかと...。
ということで、私もこのセミナーに参加してみることにしたのです。
結論からいうと、事前に思った通り、既存の物件を売るためのセミナーにほかならないようでした。しかも、ほんとうに必要な経費を支払うとまったく収益が出ない、もしくはマイナスになる不動産投資です。
そして、このセミナーでもっとも驚かされたのが、融資は最初からノンバンクが想定されていたことです。ご存じの通り、ノンバンクとは銀行以外の貸金業の会社です。
が、審査は緩く、金利は高め。そして、一度、ノンバンクからお金を借りると、その後、その人は一般の銀行から融資を受けることが非常に難しくなるのです。
詳しくは『一芸物件』に譲りますが、そのほかにも色々と不自然な部分があり、安心・確実な資産運用をサポートするどころか、顧客を使い捨てのカモとしか見ていないように私は感じました。
ちなみに、不動産業界には"キラキラ大家"という言葉があります。「年収300万円だった私が、不動産投資のおかげで年収何千万円になりました!」などと自費出版の本などを出して、成功者であることをアピールする人たちに多い傾向があります。
じつは背後には不動産業者がついていて、こうした大家を祭り上げるかのようなセミナーなどを開催し、いいことばかりを並べて、受講した人々に収益性の悪い物件を売りつけようとしているのが大半です。
キラキラした大家さんに憧れるのもわかりますが、現実の不動産投資というのは地道にコツコツと積み上げていくことが多いです。みなさんには、地に足をつけた大家さんになっていただきたいと思います。
更新:11月24日 00:05