2023年07月07日 公開
2023年07月07日 更新
「たまには旅行をしたり、おいしいものを食べにいったりするプチ贅沢をしたい」「老後、不安なく暮らせるようにしっかりと備えておきたい」など、収入は少しでも増やしたいもの。
資産運用の分野に世間の注目が集まる中で、うまく運営すれば大きな利益になり、不労所得を得られる可能性も高い"大家業"に興味を持つ人もいるかもしれません。しかし、”かぼちゃの馬車問題”などを思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、不動産投資は大きなリスクを伴うため、失敗すると多額の借金を背負う懸念があるのも事実です。
今回は、サラリーマンを経て不動産投資の道で成功した井上敬仁氏に、自身の経験から"不動産投資で失敗する人"と"成功する人"の違いを教えてもらいました。
※本稿は、井上敬仁著『高い家賃なのにいつも満室になる人気物件のつくり方 一芸物件』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
大家さんの中には賃貸事業を「ふわっ」とした動機ではじめる人が意外と多いのだそうです。「ふわっ」は言い換えると「なんとなく」となるでしょうか。
しかし、「なんとなく」では後悔することが多いといいます。なぜなら、賃貸事業は長期間にわたってつづいていきます。その間には入居者の募集や入れ替え、建物の管理や経年に伴うメンテナンスなど、それなりに手をかけていくことが必要で、しかも、空室リスクがあったり、資産価値が変動したりという可能性もはらんでいるからです。
さて、あなたはなぜ、資産運用の術として賃貸事業を選ぶのでしょうか?
資産運用の方法は、株式・債権・FX(外国為替)・投資信託・つみたてNISA・個人型確定拠出年金iDeCo・生命保険などほかにもいくつもあります。
たとえば、老後に備えたいという目的であるならば、大化けはしないけれど、着実に運用ができる投資信託や、非課税で資産形成のできるつみたてNISAやiDeCo、年金型の保険商品などを選んだほうが、手間がかからず確実といえそうです。
管理会社さんに聞いたところによると、「なんとなく」の大家さんは、賃貸物件を保有することが目的になっていて、その先の運用についてのイメージをもっていないことも多いそうです。
中には、家賃収入のことだけが頭にあって、管理費用や固定資産税、修理費用などのことが見えていない人も多いとか。どんな事業もそうだと思いますが、いいところしか見ていなかったとしたら、それはうまくいかないと思いませんか?
賃貸事業を行うにあたっては、明確な目的意識をもつことも大切です。
「入居者に、どんな便利さ、快適さ、ワクワクする思いを届けたいのか?」ということですね。さらに、次のところまで考えられたらベストだと思います。
「世のため、人のために、この物件をどう役立てることができるか?」
たった一つ、強力な個性があれば、その物件にはお客様を強く惹きつける力が生まれており、私はこれを「一芸物件」と呼んでいるのですが、このような一芸をもち、人気が絶えない物件は、目的意識をしっかり持ち、育て上げるところから生まれると感じています。
たとえば、私は、就活生をサポートする「内定がとれるアパート」を運営しています。
これも初めは「学生が快適に住めるアパートを供給する」というシンプルな目的でアパート経営をはじめました。
そして、国家資格キャリアコンサルタントという一芸を得てからは、学生たちの役にもっと立ちたいという思いが強くなり、セミナーや個別相談のできる体制を整えました。
このように、専門分野への理解をより深め、賃貸事業の経験も積み重なっていくうちに、さらなる目的意識が育っていき、物件が磨かれるものだと思っています。
というわけで、あなたの中にある賃貸事業の目的意識はどのようなものでしょう?
目的意識がはっきりしていないと、ハウスメーカーや建築会社に言われるままにアパートやマンションを建ててしまい、ふと気づいたら、まわりにも同じような物件が乱立していたということもありがちです。
賃貸市場は飽和状態にありますから、新築のときはよくても、次の入居者の入れ替えのときに空室が埋まらず、苦労しないともかぎりません。
更新:11月24日 00:05