会社員の場合、会社側が確定申告を行ないますから、「納税者意識」が薄い人がほとんどかと思います。しかし、会社員でも、自分で申請を出すことで軽減できる負担があるんです。
特に知っておきたいのが「医療費控除」。年間10万円以上の医療費がかかった場合、10万円を超える分については確定申告をすると税金が戻ってくるというもので、これは本人だけでなく、家族の分も合算した額でいいのもポイントです。
そしてもう一つ、税金関連で必ず知っておいてほしいのが「ふるさと納税」。ざっくり言うと、住民税・所得税の一部を自分の好きな自治体(出身地など)に代わりに納められる制度です。
要するに「自分の好きな自治体に寄付をすると、その自治体オリジナルの返礼品がもらえて、寄付した額マイナス2000円が所得税や住民税から控除される」というもの。例えば3万円寄付したら2万8000円は返ってくるわけですね。
非常にざっくり言ってしまえば「2000円で返礼品をもらえる制度」と理解しておくのが、一番わかりやすいかと思います。
年収に応じて控除上限がありますので、調子に乗って寄付しすぎないよう注意することは必要ですが、普通のサラリーマンでも、簡単に得することができる制度です。これはぜひやってみるのがいいでしょう。
いざ「老後資金が足りない」となると、節約・節税だけではやはりなかなか足りません。今回お伝えしたノウハウで「お金のことを考えるコツ・感覚」を養ったら、投資に挑戦してみるのもいいですね。
少し堅実すぎる投資法かもしれませんが、私のお勧めはやはり非課税で積み立て投資ができる「NISA」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」です。通常の投資では、運用益や売却益にかなりの税金がかかりますから、それがなくなるのは大きなメリットだと言えます。
これらの制度はいわゆる「積み立て型」ですが、5~10年の運用でもしっかり利益は得られます。ミドルからでは無意味などと言うことはありません。
中には「リスク自体がどうしても怖い」方もいると思いますが、そんな方はまず金融機関に足を運んでみることです。
勧められるまま何でも投資してしまうのは絶対NGですが、一人で悶々と悩むよりはずっとマシ。自分なりの情報収集をしたら、あとは気軽に専門家の話を聞きに行けばいいと思います。
【泉美智子(いずみ・みちこ)】
子どもの環境・経済教育研究室代表、ファイナンシャル・プランナー。京都大学経済研究所東京分室勤務、公立鳥取環境大学経営学部准教授を経て現職。四国学院大学でも講師を務め、消費者教育を中心に全国で講演を行なう。NHK・Eテレをはじめ、メディア出演多数。著書に『今さら聞けない投資の超基本』(朝日新聞出版)などがある。
(『THE21』2022年9月号特集「普通のサラリーマンが60歳までに『お金の自由』を手に入れる方法」より)
更新:11月21日 00:05