やる気のある方は、この年齢&ライフイベント表に「キャッシュフロー表」も書き添えれば、漠然とした老後資金の不安の解消はばっちりです。その年に予想される年間収支や貯蓄残高などを、ざっくり書き入れていきましょう。
例えば65歳で定年退職の会社なら、65歳の欄に退職金の予想額や年金以外に見込める収入額といった「入ってくる資金」を試算し、書き込みましょう。
支出面でも同じこと。住宅ローン完済や子どもの高校・大学卒業など、まとまった固定費がなくなるタイミングで、いったい毎月いくらの支出減になるのか書き留めます。
また、家のリフォームや子どもが家を持つときの援助資金など、まとまったお金がかかりそうなタイミングもある程度予期しておきましょう。
キャッシュフロー表を書き出すと、老後にいったいいくら必要なのか、具体的に試算できます。「老後2000万円問題」という言葉が独り歩きする中ですが、老後にかかるお金なんて人それぞれ。自分が希望する老後の過ごし方に必要な額や、予想される貯金の減り方を知りましょう。
そこでもし「これでは80歳で貯蓄が尽きる」というような試算が出れば、家計費の現状分析や、その先にある資産形成の計画にも、格段の気合いが入るというものです。
最初にも述べましたが、家計見直しは大きなものから。住宅なら、家の広さや立地を再考し、子どもが巣立ったあとも今の家に住むか、一度検討してみましょう。
もちろん、引っ越しにも多大な手間や費用がかかりますので、少し広すぎるなと思ったとしても、さほど大きな削減にならなそうなら現状維持も選択肢の一つです。
逆に、思い立ってすぐに削減できるのは「車」と「保険」に関するお金だと思います。
車の所有には、各種税金や保険、燃料費、維持コストなど、思っているよりコストがかかります。公共交通機関が発達している都市部なら、それに頼ることも考えましょう。
車が大好きで生きがいという人に強要するものではありませんが、ここは一度「合計いくらかかっているのか?」を書き起こしてみるのがお勧めです。
また、民間の生命保険に加入している人なら、保険の見直しも一度はしておく価値があります。というのも、自分がどんな保険に入っているか、正確に把握している人は驚くほど少ないからです。ここについても、自分が入っている保険とその内容を一度書き出してみることをお勧めします。
そのうえでチェックすべきは、保障内容が重複していないかどうか。住宅ローンを組んでいると、自動的に団体信用生命保険(契約者が亡くなった場合に住宅ローンの残金が一括返済される保険)に加入しているものです。
それらを含めてあらためて書き出すと、「生命保険の死亡保障、こんなにたくさん要らないかも」などと気づくかもしれません。よく見ると特約の内容などが重複している場合もありますし、中には「保障の受取人が別れた元妻(夫)だった」ということも。ぜひ確認してみましょう。
大きな固定費の次に気にしたいのが「使途不明金」です。実は「何に使ったのか把握できないお金」は、多くの家庭で年間数十万円あるとされています。カードの請求書は請求額だけ見て内訳は見ていない、給与明細も支給額だけしか見ていない、といったおおざっぱな人は気をつけましょう。
また、日本は「金利」についても無頓着な人が多いです。預金金利がほぼゼロで実感が湧かないからかもしれませんが、少なくとも住宅などのローンの金利くらいには、もっと敏感になってもよいと思います。
実際、同じローンでも「金利1.5~12%」などと幅があったりします。1.5%と12%ではもはや別物ですし、長期のローンなら、0.1%違うだけでも最終的な利子は大違いです。
これに限らず、もっと数字に敏感になり、お金についてのリテラシーを高めてほしいと思います。投資はもちろん魅力的ですが、その前にそういった基礎を築いてこそ、投資のリスク管理も上手にできるのではないでしょうか。
更新:11月21日 00:05