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「昨年対比だけで決めた目標」にロジックはない よい目標を立てる5つの条件

2025年08月27日 公開

高松康平(株式会社スキルベース代表取締役)

目標設定

課題解決の第一歩は、今の状況を正しく理解することです。ただし、単に「何が起きているか」を知るだけでは不十分。未来を見据えたうえで、現在の立ち位置を把握することが重要です。その上で、解決すべき課題に沿った目標を設定していきます。本稿では、よい目標の立て方について書籍『課題解決の思考法 「見えていない問題」を発見するアプローチ』より解説します。

※本稿は、高松康平著『課題解決の思考法「見えていない問題」を発見するアプローチ』(日本実業出版社)より内容を一部抜粋・編集したものです

 

どこを目指すかを決める

目標とは、「実現したい具体的な姿(数字)」です。

書店に行くと「目標」とタイトルがついた本を見かけますが、そのほとんどが「目標達成」がテーマです。

一方で、「目標設定」の手法を扱っている本は非常に少ないです。目標を考えるのは本社や経営企画部の人で、現場はその目標を追いかけるという考えが当たり前であることを表しています。

「目標設定」に関する本の中には、スポーツをテーマにしたものが多く存在し、その考え方をビジネスに転用するものも多く存在します。高い目標を掲げ、毎日の目標に落とし込む重要性が説かれています。

その多くが先に目標がある前提で話が進みます。「全国大会優勝」「甲子園出場」など、先に目標があって、それを達成するために、目標をブレークダウンします。

私自身も学生時代は、ずっと野球をしてきたので、その考え方にはなじみがありますが、ビジネスの現場にそのまま活用できるかというと違和感があります。ビジネスは、そもそもどこを目指すのかを考えなければなりませんし、そもそもどんなルールのビジネスに参加しているのかも自分で理解しなければならないからです。

何も分かっていない状況で目標を決めてしまうと、次のような目標が設定されてしまいます。

 

① 昨年対比で「エイヤ!」で決めた目標

「過去の実績は昨年対比105%だったたから、今年は110%」と少しストレッチした目標が設定されることが多くありますが、そこにロジックはありません。もっと成長できるかもしれません。

② 外ばかり見た目標

業界平均や他社などを意識して目標を設定するケースもあります。外を見ることは悪いことではありませんが、考えなければならないのは「自らどうなりたいか」、そして「どうなれるか」です。自社の状況に関係なく、外ばかりを意識しすぎた目標では、自社の可能性を正しく見積もることはできません。

③ 無茶な目標

自社の状況を考慮せず、高い目標にチャレンジしてこそ意味があると無茶な目標を設定することが好きな会社もありますが、気合いだけではうまくいきません。なぜ、その数値なのかを説明できなければ社員の納得も得られません。

そもそも、自社の状況が分かったあとで目標設定しなければ、それがどれくらい高い目標なのか判断することもできません。「見えていない問題」に取り組む際は、課題を決めることが先で、目標を設定することはあとです。

 

よい目標の条件

目標設定においては、「SMART」という考え方が非常に有名です。

・Specific:具体的に分かりやすく
・Measurable:測定可能な
・Achievable:達成可能な
・Related:経営目標に関連した
・Time-bound:達成の期限がある

「SMART」の考え方は「見えていない問題」を発見する際も有効ですが、「Achievable」と「Time-bound」に関しては注意が必要です。

1つずつ考え方を確認します。

・Specific:具体的に分かりやすく

目標は、具体的に書くようにします。「働き方改革」「イノベーション」と言った抽象度の高い言葉では、会社を動かすことはできません。

・Measurable:測定可能な

期待できる成果を明示するためには定量的に表現すると、取り組む意義を感じてもらうことができます。数値で表現することで、達成できたかどうかを確認できます。

・Achievable:達成可能な

「達成可能な」と言うと、必ず達成できる目標という意味にもとれますが、そういうことではありません。「100%できる」ではなく、「できる可能性がある」目標を設定するという意味です。「やらなければならない」ではなく、「できるかもしれない」という数値です。

・Related:経営目標に関連した

会社全体・事業全体に貢献できる目標を設定します。会社や事業部が掲げている目標に対して大きな影響を与えることは難しいですが、ほんのわずかでもいいので貢献できる目標になっていることが大切です。

・Time-bound:達成の期限がある

意外と忘れてしまうのが達成の期限です。いつまでに、その目標を達成したいのかを明確にします。ただし、これは「ノルマ」ではありません。もし、決めた期日までに達成できなければ、振り返りをしたうえで目標の見直しをします。

一度決めた目標に固執する必要はないです。一度設定した目標にずっとコミットしなくてはならないとなると、「見えている問題」の解決の考え方から抜け出すことができません。

 

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