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家が貧しく、病弱だった松下幸之助が唱えた「運命に従う」ことの意義

2022年10月28日 公開
2024年12月16日 更新

川上恒雄(PHP理念経営研究センター首席研究員)

 

どんな境遇でも、人事を尽くせば道はひらける

そもそも運命とは、自分の意志を超えた力であるから、変えようと思うこと自体がおかしい。けれども幸之助によれば、まったく変更できないわけではなく、努力と才覚によってわずかではあるが、変えることができるという。それを幸之助は「運命に光彩を加える」と表現した。 

佐々木さんも、運命に甘んじるのではなく、目の前の仕事に知恵や工夫を凝らすことが大切だとした。与えられた運命を「生かす」ことが大切なのであって、甘んじてはならないのだ。

幸之助は言う。

「運命として与えられたものについては、すべて人間の力ではどうにもならないかというと必ずしもそうではない。そこが運命の妙味というか、不思議なところなのではないでしょうか。

つまり、"人事を尽くして天命を待つ"ということばがありますが、お互いの生き方次第で、自分に与えられた運命をより生かし活用する余地が残されている。(中略)そう考えれば、大切なことは、やはりどのような境遇にいようとも、精いっぱい人事を尽くすことではないでしょうか」(『人生談義』PHP研究所)

現在の境遇に不満を持つ人も多いだろう。しかし「それもまた運命」と考えることで、目の前のことに打ち込めば、予想もしなかったような道がひらけてくることもあるのだ。

 

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