2022年01月28日 公開
2023年02月21日 更新
「いくらリサーチをしても、『スマートフォンが欲しい』というニーズは出てこなかったとよく言われるよね。実際のビジネスシーンでは、結局ベテランの経験に基づく勘のほうが精度も高くて、効率がいいことも多いし」
リサーチやデータ分析の重要性が盛んに叫ばれる昨今、心の中でそうつぶやいている人は意外と多いのではないか。これに対して、『電通現役戦略プランナーの ヒットをつくる「調べ方」の教科書』著者で、電通現役戦略プランナーの阿佐見綾香さんは、「経験に基づく勘や直感が大事というのはその通り。ただそれだけに頼った意思決定や判断は危険」だという――。
※本稿は、阿佐見綾香著『電通現役戦略プランナーの ヒットをつくる「調べ方」の教科書』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
「モノが売れにくい時代」と言われるようになって久しいですが、ヒットする商品は今も日々生まれています。
どうすれば売れる商品をつくれるのか。当たり前に思われるかもしれませんが、その秘訣は、正しい「ターゲット」と「セールスポイント」の2つを見つけるということに尽きます(「セールスポイント」はいわゆる和製英語で、さまざまな解釈がありますが、ここでは「商品がどう認識されれば買ってもらえるのかを突き止めたポイント」と定義します)。
とはいえ、正しい「ターゲット」と「セールスポイント」を見つけること自体がとても難しいこと。簡単に見つかれば、誰も苦労しません。
そこで昨年9月に出版した拙著では、商品を売るプロセスの中に「リサーチ」を取り入れて、適切なターゲットとセールスポイントを早期に絞り込めるようになる技術を提案しました。
ビジネスとリサーチは遠くにあると思われがちですが、実際にはリサーチはビジネスの成功に直結するものです。
「現代広告の父」と呼ばれ、伝説のコピーライターとして知られるデイヴィッド・オグルヴィ氏が、じつは調査研究所で副所長を務めていたほど本格的な「リサーチャー」であったことはあまり知られていません。
オグルヴィ氏は、モノが売れる「広告」をつくるためには、リサーチが重要だということを伝えるために、「リサーチに無関心な広告人は、敵の暗号を解読するのに無関心な将軍と同じくらい危険だ」(『「売る」広告[ 新訳]』(海と月社)より)という言葉を残しているほど、リサーチを重視する人でした。
電通のクライアント企業の多くも、ちゃんとリサーチを行って、正しい「ターゲット」と「セールスポイント」を絞り込んでいます。
更新:11月22日 00:05