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今さら自分探し?...会社一筋だった50代が問いただす「働く意味」

2021年09月29日 公開
2024年01月29日 更新

前川孝雄(FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師)

前川孝雄

会社のために働き続け、50歳くらいになると、人生後半戦のキャリアについて悩みを抱えるようになってくる。しかし、会社のためだけに働いてきたからこそ、外の世界のことがわからず、自分でキャリアを切り拓こうにも、自分が何をやりたいのかさえわからない…。

研修や講演などを通して、そうした人たちを数多く見てきた前川孝雄氏に、「本当にやりたいこと」の見つけ方を聞いた。

※本記事は、前川孝雄著『人を活かす経営の新常識』(株式会社FeelWorks)より、一部を抜粋・編集したものです。

 

「会社村にいて、定年後への準備不足を痛感」

2冊の拙著『50歳からの逆転キャリア戦略』『50歳からの幸せな独立戦略』(PHPビジネス新書)に寄せられ続けている読者の感想から、典型的なものをいくつか紹介しましょう。

「鬱々していた自分がいかに恵まれているかわかった。今の職場で将来に向け自分を磨き直したい」

「狭い会社村のなかにいて、定年後への準備不足を痛感した。自分の棚卸しをしっかり行い将来に備えたい」

「役職定年で自分は終わりだと諦めていたが、まだまだ捨てたものではない! 自分次第で働きがいある仕事に再チャレンジできる希望を得た」

人生の午後に入り、働く意味を見失いかけた人たちを勇気づけられたことは、嬉しい限りです。

一方で、長年会社員として働いてきた故の共通する悩みも見えてきました。会社に依存せず自らキャリアを切り拓く大切さはわかった。でも、自分が本当にやりたい仕事は何か。充実した人生のために何をめざせばよいかわからない、という声がとても多いのです。

定年後が数十年もある人生100年時代に憂慮すべき事態ですが、これは本人たちの責任とばかりはいえません。

サラリーマンとして30年、40年と勤め、会社の指示命令に従い一所懸命に働いてきたために、自問自答する機会があまりなかったからです。会社を離れた自分に何ができ、何がやりたいか。そう問われても見当もつかず、不安が募るのも無理もありません。

「大人になっても自分探しか?」と思われがちですが、まだ何者でもなく成長の途についたばかりの若者に比べ、積み上げた経験値があるだけに、ミドルからのキャリアシフトはより困難なのです。

 

会社を離れれば「やりたいこと」は見えてくる

では、どうすれば自分が本当にやりたいことを見つけられるか。自分が心から興味や関心を持てること、夢中になれること、自分を活かせることの答えは、自分自身のなかにあります。これは「本当の自分」を知るプロセスに他なりません。

でも、私たちは自分の潜在意識や持ち味に容易に気づくことができない。

同質性の高い集団の「会社村」で、組織の一員として働いているだけではなおさらです。馴染みのメンバー同士では相互啓発が起こりにくく、内省し変化や成長をめざす動機も生まれにくいからです。

そこで、私がお薦めするのは、会社を一歩出て外の世界で学ぶ機会をつくることです。大学、資格スクール・セミナー、異業種交流会、留学など、なんでもいい。未知の学習や体験をし、自分と異なる経験や感性や価値観を持った多様な人たちと出会うことです。

そこで普段は得られない人間関係や刺激を得るなかで、自分の姿がはっきりと見えてきます。国内にいるより海外旅行に出かけたほうが、自分が日本人であることを自覚できるのと同じですね。

仕事やキャリアの側面でも、多様性のなかに身を置くことで、自分が見えてくるものです。

もちろん最も自覚できるのは、転職や独立で新たな世界に踏み出した時ですが、後戻りできないリスクが伴います。

ですから、まずは学んでみるのです。

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