2021年08月25日 公開
2023年02月21日 更新
若い世代に比べ、40代~50代のビジネスパーソンは預金志向が強めです。その理由は、過去の成功体験。この世代が育ってきた時代、世は空前の高金利時代だったのです。
1980年における郵便局の定期預金の金利は8~12%。100万円預けたら、勝手に年10万円前後増えていく計算です。
この時代に、100万円の元本プラス、月々10万円を預け続けた場合のシミュレーションがあります。5年で貯金額は1000万円を超え、10年後は2500万円超。置きっぱなしでひと財産築けるのですから、投資に目が向かなかったのも無理はありません。
しかし今や、金利は当時の1万分の1。そろそろ過去の成功体験を抜け出して、「株式投資」の世界へと、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
「初心者だし、株の銘柄なんてわからない」「最初はプロに任せたほうがよい」と考える人もいるでしょう。証券会社の営業マン=「プロ」が勧める投資信託などを買うほうが簡単で安全だ、というわけです。
しかしこの「金融のプロ」は、お金を増やすプロではなく、「手数料を稼ぐプロ」です。顧客が魅力を感じそうな金融商品(今ならさしずめ「ウィズコロナ時代に伸びる銘柄パッケージ」など)を勧め、買ってもらって3%の手数料を得れば目的達成。
その後、その商品が上がろうが下がろうが証券会社の損益に影響はありません。お客が「今一つ上がらない」とイライラし始めたら、別の金融商品を勧めて、また手数料を得ればいいのです。
銀行の営業マンも同様。外資系投資銀行も含め、私たちが出会うプロは皆、同じビジネスモデルの下で働いています。
唯一の例外はヘッジファンドのマネジャーです。集めたお金を実際に運用し、リターンを投資家に還元する彼らは「増やすプロ」と言えますが、日本にはごく少数しかおらず、最低投資金額も何千万もしくは億単位。顧客となるのは資産家のみです。
したがって、私たちが頼れるプロは「いない」と考えるのが妥当。ここはやはり、自分で考えるのが得策です。
そこで登場するのが、初心者でもできる――というより、初心者の方が向いている投資法、「小型株1銘柄投資」です。
「小型株」とは、時価総額が小さい会社の株を意味します。時価総額とは「株価×発行済株式数」、つまりその会社を丸ごと買ったときの金額です。
時価総額が小さく、これから伸びそうな会社の株。これを1銘柄だけ買うのが小型株1銘柄投資です。成熟した大企業の株ではなく、伸びしろのある会社に狙いを定めるのです。狙いが的確になってくれば2倍、3倍は当たり前、10倍以上になって還ってくることも。
その後は、伸びが鈍化してきたら売り、上がりそうな銘柄へと移し替えます。スパンは短いものなら半年、長くとも数年程度です。
いわゆる定番の株式投資とは違う、と感じられるでしょう。通常は「好きな企業や大企業の株を5年、10年保有する」やり方が手堅い、と言われますね。
確かにそれも悪い方法ではありません。大企業の株でも、今後もずっと伸び続けるならばリターンは得られます。
しかし今は世の中の変化が激しく、業界の勢力も数年で変わる時代です。その中で、長期間同じ場所にお金を置くのは安全策とは言い切れません。適所にどんどん置き換えるほうが、実は手堅いのです。今後の不透明な時代にもフィットしやすいでしょう。
問題は、その「適所」をどう見定めるかです。ここに必要なのがロジックです。何をもってその会社を選んだのか、確たる根拠を持つことが必須。「なんとなく伸びそう」と思うだけでは、この方法は成功しません。
小型株1銘柄投資を「初心者にこそお勧めしたい」と言った理由は、まさにこの点にあります。株投資に慣れているか否かにかかわらず、論理的に考えられさえすればできる方法だからです。日々ビジネスの現場に身を置いて、世の中の変化や潮流に接している人なら、さらに適しています。
更新:11月22日 00:05