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この時代になっても!? 男性上司にありがちな「6つの誤解」

2021年05月21日 公開
2022年06月02日 更新

小田木朝子(NOKIOO取締役)、沢渡あまね(あまねキャリア工房代表/NOKIOO顧問)

小田木朝子、沢渡あまね

長らく課題として言われつづけている、女性の「仕事と家庭の両立」。会社等の組織では男性社員、上司からの誤解は今でも見られ、育休前後の女性社員はおろかチームの運営にも悪影響を及ぼすことがある。

育休前後の女性向けオンラインスクールを運営する小田木朝子氏と、組織改革に数多く携わってきた沢渡あまね氏は、組織は上手く機能させるにはそういった女性社員やチームメンバーの「役割を明確化する」ことが必要だと語る。

2人の話の中から、どのようにすればチームとして育児中の社員を受け入れ、成長していけるのかを詳しく解説する。(取材・構成:塚田有香)

※本稿は、『THE21』2021年5月号より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

男性上司が陥りがちな「誤解」

組織がアップデートするにあたってカギを握るのが、中間管理職だ。チームのリーダーとして、制約条件のある女性たちをどうマネジメントするか。それによって、オープン型組織への転換を実現できるか否かが決まると言っていいだろう。

だが、小田木氏によれば、女性社員に対して誤解がある男性上司が多いという。特に目立つのが、次の「誤解」だ。

 

「育休中は仕事の話をしないほうがいい」という誤解

「子育てに専念したいだろうから、休暇中はコミュニケーションを控えよう」と考える上司は多い。だが、職場の情報が入らないと、「自分がいない間に仕事のやり方やメンバーが変わっているのではないか」「チームの現状がわからないので、復職に向けてどのような準備をすればいいか判断できない」といった不安や孤独を感じる女性が多い。

 

「時短勤務の人はできる仕事に制限がある」という誤解

「働く時間が短いので事務作業しか任せられない」「今は家庭が大事だから、新しい仕事に挑戦するのは難しいだろう」といった思い込みもありがちだ。

しかし、これは、働く時間の長さで部下のやる気やパフォーマンスを判断している証拠。成長意欲が高い人は、時短勤務でも高い成果やモチベーションを発揮できるので、上司が任せる仕事の範囲を制限すると、活躍の機会を奪うことになる。

 

「やる気のある人は自分で何とかする」という誤解

これは昭和の「気合と根性」論を引きずっている上司によくある誤解。いくら本人にやる気があっても、組織が適切な機会提供や育成を行なわなければ、十分なパフォーマンスを発揮できる人材にはなれない。

 

「育児期にパフォーマンスが落ちるのは仕方ない」の誤解

これは「パフォーマンス=働く時間の長さ」と捉えているために起こる勘違い。週5日×8時間以上働かなければ成果は出せないと考える上司は、今すぐパフォーマンスの定義をアップデートする必要がある。

 

「女性は管理職になりたがらない」という誤解

これがなぜ誤解かを理解するには、「管理職とは何か」について、要件の再定義が求められる。

統制型組織では、朝から晩まで働き、必要とあれば休日も返上して、すべての問題を1人で解決するのが管理職の責務とされた。だが、今の時代にこんな働き方を強制されれば、女性だけでなく男性も、「管理職にはなりたくない」と考えて当然だ。

それに対し、オープン型組織では、管理職がすべてを背負う必要はない。むしろ、多様な個性を持つ部下や関係者がそれぞれの強みを発揮できるように、仕事や役割を適切に分担する必要がある。

そして、管理職はチームの成果を最大化するための仕組みや環境作りを担う。これなら、働く時間や場所に制約がある女性でも、マネジメントの職務を果たすことが可能だ。

企業が管理職の仕事と役割を再定義すれば、自分もマネジメントをやってみたいと考える女性は増えると考えられる。

 

産休前と復職前の面談で「期待・役割」を話し合おう

これらの誤解は、上司に悪気があるわけではなく、よかれと思ってやっていることが裏目に出ていることも多い。だからこそ、まずは女性側との認識のズレを理解することが大事だ。

そのうえで、上司は産休・育休前後の女性社員にどう接すればいいのか。

具体的なアクションとして小田木氏が勧めるのが、産休前と復職前に上司と部下で面談を行なうことだ。

「面談で話すべきポイントは2点あります。1つは、職場に戻る時期や復職後の働き方など、物理的要件の確認。もう1つが、今後のキャリアと『期待・役割』の共有です。

女性社員からは、仕事で感じているやりがいや課題、復職後に経験したい業務などを話し、上司からは、『復職後にチーム内でどのような役割を担ってもらいたいか』『どんな貢献を期待しているか』を伝えてください」(小田木氏)

大事なのは、物理的要件の確認だけで終わらせないことと、上司からも率直に期待や希望を伝えること。誤解を抱えたまま、双方がすれ違うのを避けるには、女性本人が望むキャリアと、上司の期待や組織内で果たすべき役割を、互いに理解し合うことが欠かせない。

「産休前と復職前の2回行なう理由は、成長意欲が高い人ほど、育休中に仕事やキャリアに対する意識が変化しやすいからです。

私たちのオンラインスクールで学んだ女性たちも、両立のためのスキルやマネジメント術を勉強したり、育休中の女性同士で刺激を受けて、『時間の制約があっても自分は高い成果を出せる』と自信を持ったり、『私も管理職を目指したい』と目標が変わることがよくあります。

よって、産休前の面談内容だけで決めつけず、復職前にもう1度面談して、女性にどのような学びや変化があったかを確認すれば、上司は女性により良いチャンスを与えられるし、組織の成果にもつながって、双方がハッピーになれます」(沢渡氏)

育休中も職場や仕事の情報に触れられる機会を用意することも大事だ。イントラネットを活用してもいいし、オンラインでチームメンバーが集まる場を設けて、希望者は育休中でも参加できるようにしてもいい。

「育休はあくまで休暇ですから、その間に会社として情報共有やコミュニケーションへの参加を強制してはいけませんが、本人が望めば情報にアクセスできる窓口を開いておくことはとても大切です」(沢渡氏)

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