わがままなお客様に振り回されて困っている……。そんな営業マンは少なくない。
リクルートの元トップ営業マンで、現在は営業研修の人気講師として活躍する伊庭正康氏に、「顧客の便利屋ではなく、パートナーになる方法」を教えてもらった。
※本稿は、伊庭正康『できる営業は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
たまにこんな営業部長がいます。
「お客様は神様!ウチは中小企業!なんでも、やらねばならない。お客様から“来い”と言われれば、休日でも飛んでいくのだ!」
これは、リクエストに応えすぎている状況です。いわゆる下請け気質。
気持ちはわかりますが、「営業の本質を理解されていないな」と感じます。
そんな会社に限って、営業力は低く、何より営業利益率が低く、ある特定のお客様との取引で現状はなんとか持っているが10年後はわからない……そんな不安定さを感じることが少なくありません。
例えば、こんな対応は、絶対にNGです。
お客様「値段は安いほうがいいね」
営業「かしこまりました。では、こちらの安いプランを提案いたします」
お客様「電話より、顔を出す営業マンがいいよね」
営業「かしこまりました。では、毎週うかがわせていただきます」
これでは、業者のように軽く扱われるようになるのは確実です。
営業マンは、「便利屋」になってはいけません。言われたことはなんでもやる…この行為は、あなたの首を絞めてしまいます。
「来てくれたほうがラクなので、ちょっと来てくれない?」(電話でも済む内容なのに)
「前にもらったボールペン、また持ってきてくれない?」(頻繁に)
「社内の稟議にあげたいので、企画を3案ほど考えてくれない?」
こうしたことが当たり前になっているなら、営業マンの対応が、お客様をそのように“育てて”しまった可能性があります。
よかれと思ってやってあげたことが、いつしか当たり前となってしまっている。気がつけば、「お客様だけがWin、営業はいつもLose(我慢)」の関係に自らがしてしまっていることはよくあること。これだと、「関係性強化」ではなく、「関係悪化」です。
更新:11月22日 00:05