2021年03月09日 公開
2023年02月21日 更新
――三つ目のポイントは、質問の順番を組み立てること。
「スタート地点では、相手のスイッチはオフの状態です。オンにするには、序盤で『相手が話したいこと』をじっくりと聞くこと。それから徐々に『こちらが聞きたいこと』に話題を移していきます。あらかじめそのストーリーを考えて、質問の順番を組み立てましょう」
――ただし、その予定はしばしば狂うものだ。
「『相手が話したいこと』が延々と続いて、『聞きたいこと』に近づけないことはよくあります。しかし、相手の話を遮って話題を変えてはいけません。必要な回り道だと考えて、焦らず耳を傾けましょう」
――とはいえ、時間には制限がある。聞きたいことを聞けずに話が終わるのを避けるには、どうすればいいのだろうか。
「相手が話題を変える瞬間をうまく捉えて質問を投げかける臨機応変さがあるといいですね。もしくは、『刑事コロンボ方式』。犯人と他愛もない会話をずっと交わしたあと、『最後にもう一つだけ』と言ってズバリと切り込むコロンボのように、大事な質問を最後にするのも有効です」
――ただし、この順番が好みに合わない相手もいるので注意が必要だ。
「忙しいから、最初からズバッと聞いてほしい、というタイプです。相手がそれに該当するかどうかは、第一印象から読み取るしかありません」
――核心に近づいたら、こちらの仮説をぶつけて相手の反応を見る。これが第4のポイントだ。
「言葉だけではなく、顔色や表情、態度もチェックしましょう。言葉はYESで内心はNOということもあるからです。時には、相手自身も白黒がつけられない、グレーな反応になることもあります。
その場合は、相手がイメージを浮かべやすい質問をしましょう。『現状のサービスはどうですか?』と漠然と聞くのではなく、『こんなサービスがあったら嬉しいですか?』『○○円ならこのサービスを利用しますか?』などと聞けば、反応が具体的になります」
――最後の5ポイント目は、「雑談力」だ。
「良い質問は、例外なく雑談的。キャッチボール式の会話になっています。その逆が1問1答です。次の質問へと次々移ってしまっては、相手は楽しんで答えられません。相手を楽しませることこそが、質問力の決め手です。質問者に向かって話す時間が楽しく、快適であればあるほど、リアルな本音や大事な情報を話してくれるでしょう」
――その状態に入ったら、しめたもの。質問をしなくても相手が話してくれる状態を作るのが、究極の質問力だ。
「達人となると、もう質問さえしません。そこまで到達できるかどうかはともかく、質問者は『心を開かせる力』を問われているのです。全人格が試されるテーマと言っていいでしょう」
更新:11月22日 00:05