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パソナ東北創生「釜石の企業と外部人材をマッチングし、地域の産業を伸ばす」

2021年03月07日 公開
2022年10月14日 更新

【経営トップに聞く 第45回】戸塚絵梨子(パソナ東北創生社長)

パソナ東北創生

地域の企業と外部人材のマッチングで産業を育てる

――事業内容は?

【戸塚】「地域での豊かな生き方・働き方を作る」ということをコンセプトに掲げて、大きく分けて2つの事業を展開しています。

 1つは、都市と地域の関係を創出することを目的とした、首都圏の企業や個人、大学生向けの研修ツーリズムやフィールドワーク、スタディツアーの運営です。

 研修ツーリズムというのは、起業前に、仲間を釜石に連れて行って、地域の方に話をしていただいていたことに、学びの要素を取り入れてバージョンアップさせたような事業ですね。

 会社を設立した当初は研修ツーリズムだけを行なう計画だったのですが、2カ月ほどして、地域の産業の復興や成長のためには、地域の企業と外部人材とをしっかりとマッチングすることが必要だと感じるようになりました。研修ツーリズムだけでは、観光の側面でのプラスは感じましたが、地域の産業への広がりは少ない。

 そこで、中期滞在や長期のプログラムにも挑戦しました。大学のゼミやサークルを対象として、年に複数回、大学生にフィールドワークに来ていただくようにしたり、転職前やフリーランスの方に来ていただき、「暮らしのすべてがキャリアになる」というコンセプトで、地域のまちづくり団体などで2カ月間活動していただいたりするものです。

 そこで地域の方からの感謝や継続して実施してほしいといった声をいただき、手応えを得たので、2年目から、夏休みや春休みを利用した、地域の企業での1カ月間のインターンシップも、大学生向けに行なっています。経営者の右腕として事業活動に取り組む、実践型のインターンシップです。

――研修ツーリズムなどに参加する企業は、どんな目的で参加するのでしょうか?

【戸塚】当初は、ボランティアやCSR活動として参加されたり、肉体労働による社会貢献を通じてチームビルディングをしたいという目的で参加されたりする企業が多かったのですが、復興が進むにつれて、そうしたニーズは減ってきました。

 今は、例えば、「自己を変革し、未来を創造する」次世代リーダーの育成や、SDGsを実践型で学ぶ、といったプログラムを実施しています。釜石では農業や漁業、林業など1次産業が盛んですし、震災直後にガソリン、電気といったインフラが止まった経験から、電機やガスを使わないで暖を取る、食事を作るといった防災・減災の取り組みや、エネルギーの自給自足を実践するといった未来の暮らしを描くような取り組みがあります。そうしたことを体験していただき、自身や自社の強みを社会課題と接続し、事業創造に取り組む視点を学んだり、SDGsを身近に感じながら学んだりしていただくものです。

 最近では、2020年12月に、釜石市と首都圏の研修会社と組んで「レジリエンス&トライ」をコンセプトにしたラーニングワーケーションを行ないました。困難に直面したときに、それをどのように乗り越えるのかを、釜石に来ていただいて、震災の経験者から学んでいただきながら、テレワークで仕事もしていただくというものです。

――大きく分けて2つあるうちの、もう1つの事業は?

【戸塚】地域での多様なキャリアを作っていくため、外部人材を受け入れる土壌作りをしています。地域の企業を採用などの人事面でサポートしたり、副業・兼業・プロボノの案件創出や、それに応じてくれた方の定着支援、また、釜石に移住して事業を創出される方のサポートをしたりしています。

 また、「プチ勤務」のマッチングもしています。これは、地域の女性たちと地域の企業をマッチングするものです。朝の3時や4時に機械の試運転のために2時間だけ働いてくれる人が必要だ、というような仕事があるのですが、そういうニッチな仕事のために求人を出す企業はありませんでした。そこで、そうした仕事を切り出していただき、「それならできる」という地域の女性とマッチングすることで、眠っていた労働力を活用できるようにしています。

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