2021年01月07日 公開
2022年10月25日 更新
ケーキは街のお店に買いに行くもの。通販が発達した今でも、そう思っている人が多いだろう。しかし、自宅にケーキが届く通販で急成長しているベンチャー企業がある。〔株〕Cake.jpだ。創業社長の高橋優貴氏に、成長の理由を聞いた。
――業績を大きく伸ばしているということですね。
【高橋】前年比で売上が約2.5倍、クリスマスシーズンについては約3倍になっています(取材は2020年12月15日に行なった)。
当社が運営しているECサイト「Cake.jp」で商品を販売している加盟店の数も、1年前の約250店から、今では約600店へと、大きく増えました。
――なぜ加盟店が増えているのでしょうか?
【高橋】新型コロナの影響が大きいですね。従来はリアルな店舗での販売や百貨店への卸だけをしていたお店が、ECを始めたいと考えるようになったのです。ECを始めるには、集客や運用、配送などのノウハウが必要なので、自社ではできないということで、当社にお問い合わせをいただいています。
――確かに、ロールケーキのような型崩れしにくいケーキのECは他社でもしていますが、いわゆる「ケーキ」のECは御社の他に、あまりないように思います。
【高橋】どのように型崩れが起こるのかを研究して、型崩れが起こりにくいオリジナルのパッケージを開発し、それを加盟店に提供しています。配送は宅配業者にお願いしています。
それでもまれに破損することがあるので、その場合は、都心部だけですが、代わりの商品を、その日のうちに、自社でチャーターしたトラックで配送しています。ケーキは「どうしても今日必要だ」というケースが多いですから。ここまでやっているECサイトは、他にないのではないでしょうか。
――ケーキは冷凍して配送していますね。
【高橋】冷凍ケーキと聞くと「味が落ちるんじゃないか」と思われる方が多いのですが、実は、人気のトップパティシエたちのお店は、ほとんどがケーキを冷凍しています。それを解凍してからショーケースに並べて、お客様に提供しているんです。
冷凍は製造工程の一部なので、解凍してから時間が経ったものよりも、食べる直前に解凍したもののほうが美味しい。ケーキを製造している各加盟店で冷凍されて、その状態で自宅に届いたケーキを、食べる前に解凍していただくことで、美味しく食べていただけます。
――加盟店には、どんなお店が多いのですか?
【高橋】全国の様々なお店がありますが、新型コロナが流行してからは、東京の他、金沢などの観光地の、トップパティシエのお店が一気に増えました。
――Cake.jpのユーザーは?
【高橋】20~30代の女性や、小さいお子さんがいるファミリー層が多いですね。有名店のケーキについては独身女性のお客様が多いです。
――従来、リアルな店舗や百貨店でケーキを買っていた人たちが、Cake.jpで買うようになった?
【高橋】そうです。
――加盟店のケーキだけでなく、御社が自前で持っている工場で作ったケーキも販売していますね。
【高橋】Cake.jpの流通額を伸ばすためには、デジタルマーケティングをしたり、インフルエンサーに協力していただいたり、PRをしたり、加盟店を増やしたりと、様々な方法がありますが、最も効果的なのは、他では売っていない良いケーキを作ることだということがわかったんです。広告や営業よりも、商品開発にお金をかけるほうが、売上が伸びる。それなら、自分たちで工場を作って、シェフやデザイナーも集めて、他にないケーキを作るのがいいのではないかと考えました。
今のところ、その目論見通りに、うまくいっています。SNSが普及したことで、広告や営業にお金をかけなくても、良い商品を作ることで、情報が勝手に広まる時代になったからです。
また、有名店は自分のお店の商品を作るだけで手がいっぱいでECにまで手が回らないので、そうしたお店からレシピを提供していただき、EC用の商品を当社の工場で製造することもしています。そうすることで、お店に行けない方も商品を食べることができるようになります。
更新:11月23日 00:05