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オプトデジタル「LINEとのパートナーシップを強みに日本企業のDXを進める」

2020年12月25日 公開
2023年10月31日 更新

【経営トップに聞く 第41回】野呂健太(オプトデジタル代表取締役)

オプトデジタル

大手企業のDXが日本全体のDXへの近道

――損保ジャパンや、その前に働いていた〔株〕NTTドコモでの経験で、今に活きていることはありますか?

【野呂】NTTドコモではdポイントの立ち上げを担当しました。200~300人が関わるプロジェクトで、私はたった7人の事務局の中の1人でしたから、社内調整力が鍛えられましたね。損保ジャパンという大手金融機関でLINEでの保険金請求サービスなどを立ち上げられたのも、社内調整力が鍛えられていたおかげだと思います。

 また、損保ジャパンではDXを担当するクライアントの立場でしたから、DXを実現したいクライアントがどんなことを必要としているのかがよくわかります。ベンダー側になった今でも、当時の目線に常に立ち返って仕事をしています。

――オプトデジタルの代表になって、これまでインターネット広告代理店として実績を積んできたデジタルホールディングスのグループ会社であることのメリットは感じますか?

【野呂】グループとして、ネット広告事業で培った幅広い業種の企業をクライアントに持っているので、提案先が多いのは大きなメリットですね。また、DXはマーケティング事業とも密接な連携が必要なため、そのノウハウが自社に蓄積されているのは強みだと考えています。

――今後の展開としては、どのようなことを考えていますか?

【野呂】LINE CLOVAというLINE社のAIエンジンを活用したサービスの開発を加速させていきたいですね。例えば、顧客からの自由記述でのチャットでの問い合わせに自動的に回答したり、免許証や紙の各種帳票などをOCRで読み取る機能を取り入れたシステムの開発などです。人の手で紙の帳票などをExcelのシートに入力しているようなオペレーションを抱えている業界もまだまだ多いので、非常にニーズがあると考えています。

 こうした個別の技術については、自社で新たに開発するよりも、得意とする他社と協力するほうがいいと考えています。モノ作りを効率的に行なうには「餅は餅屋」の考え方が重要ですから。

 当社はLINEを活用したフロントシステムの構築に強みがありますが、LINEで顧客にサービスを提供するだけでなく、それによって得られたデータを蓄積、分析してマーケティングに活用する「データマート」と呼ばれるような分析用のデータベースやマーケティングオートメーション(MA)ツールを大手金融機関向けにフルスクラッチで開発するなど、構築実績のあるシステムの幅も広げつつあります。

 もちろん、SaaSサービスによる一斉展開で世の中のDXを加速させる方法もありますが、そうひと筋縄でいかないのが日本の大手企業を中心としたレガシーなオペレーションです。DXに近道はありません。

 特に今の日本でレガシーと言われる業界・業種のDXは、GAFAのような巨大IT企業でも実現できないと考えています。レガシーゆえに、個々の企業のオペレーションやシステムが独自の進化、発展を遂げているためです。その中で取り得る方法は、企業ごとにカスタマイズされたシステムを、いかに短期間、低コストで柔軟に作っていくかではないでしょうか。

 個々の企業のオペレーションに沿ったモノ作りを短期間で次々に提供していく。その結果として、大手企業を中心にアナログなオペレーションがデジタル化されれば、世の中の多くの人たちがデジタルの恩恵を享受できることにつながります。

 今の日本には大手企業から変革を進める地道なデジタル化が必要だと考えます。その一歩を踏み出すお手伝いを我々ができればと考えています。

《写真撮影:まるやゆういち》

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