2020年12月10日 公開
――友人との飲み会も、そこで見聞きしたことや感じたことが、仕事に活きているという。
「私は大阪の出身で、小中学校は地元の公立校に通っていました。その頃の友達の中には、中学校時代はちょっとヤンチャで、そのまま地元に残って働き、家庭を持っている人もたくさんいます。彼ら、彼女らとは、今も大阪に帰ったときによく一緒に飲んでいます。
これが良い刺激になっています。マネックス証券のお客様は個人投資家です。どんな資産状況の人でも、誰もが可能な範囲で資産形成ができる社会になることを目指して設立された会社です。
世の中にいる方すべてがお客様になり得るので、中学校時代の友人が何を考えて、どんなふうに暮らしているかについて聞くことは、自分の会社をどう創っていくかを考えるうえですごく参考になるんです。
まあ、本当は『一緒に話していると楽しいから』というのが、彼らと飲む一番の理由なんですけどね(笑)」
――清明氏は、社内に閉じこもって働いているだけでは、新しい発想は生まれないと考えている。
「当社はダイバーシティを大切にしていて、メンバーの性別や年齢、国籍も多様です。とはいえ、同じ会社で働いていれば、その会社のビジネスの枠組みの中での思考になりますから、どうしても同じような発想になります。
会社とはまったく違う環境に身を置き、仕事とは関係ない人と同じ時間を過ごしていると、『私が考えていたことって、ちょっと視野が狭かったかも』と気づくことがよくあります。だから私は、外に出るのが好きなんです」
――このように社外での活動に力を注ぐことができるのは、言うまでもなく、日々の仕事の処理能力が速いからだ。仕事ができるから、プライベートにも時間を割く余裕ができる。
「私は昔から『仕事が速いね』とよく言われてきました。でも、決して器用なわけではなく、新しい仕事に慣れるまでは時間がかかるタイプです。人よりも速い点があるとすれば、それは決断のスピードだと思います。決められることは、すぐに決めて実行します。
そもそも、決断をした時点では、その判断が正しいか間違っているかなんて誰にもわかりません。外部環境は刻々と変化するし、想定外の事態も起こります。
だったら『やるか、やらないか』で迷うより、まずはやってみたほうが断然いい。『どうやるか』を考え、取り組んでいるうちに、『これは違うな』と気づくこともあります。そうしたら、その時点で軌道修正を図ればいいのです。
もちろん、中には、決断をする前にもう少し調べたほうがいい案件や、熟考が必要な案件もあります。もう少し調べたほうがいい場合は『いつまでに何を調べるか』を決めます。
また、もっと考えたほうがいいことについては、『考えることリスト』に入れておき、考える時間をスケジュールの中に取って、その時間内で結論を出すようにしています。これを実践するだけでも、仕事のスピードがまったく変わってくるはずです」
更新:11月25日 00:05