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実力はあるのに、役員に嫌われ...出世の道が絶たれた50代管理職の「大逆転劇」

2020年11月11日 公開
2023年03月31日 更新

前川孝雄(FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師)

 

役員になれなかったことで、気力をうしなってしまったAさん

私も企業で働いていましたし、起業後は13年にわたり企業の管理職研修やミドル向け研修を手掛けてきたことから、このようなビジネスパーソンを数多く見てきました。人間的魅力にあふれ、素晴らしい能力も持っているにもかかわらず、人事評価や処遇で元気を失う人を見るたび、本当にもったいないと思います。

中には、非常に優秀な大企業管理職が、役員になれなかったことがきっかけとなり、うつ状態に陥ってしまったこともありました。仮にAさんとしておきましょう。

Aさんは、言ってみれば非常に才覚のある「尖った」タイプ。だからこそ、現場リーダーとしては大胆な発想や決断ができ、結果も出すことができました。

しかし、同調圧力の強い日本の企業では、このタイプの人は上に行けば行くほど敵を作ることも多くなり、評価されにくくなります。結果として、上や周囲とぶつかることも多いAさんのような尖ったタイプよりも、バランス感覚があり処世術にも長けた「丸い」タイプの人が出世する確率が高い。

ドラマ『半沢直樹』があれほど高視聴率を稼ぐのも、現実的には上司に倍返しし続けて出世できるわけがなく、そのぶんドラマでスカッとしたいミドルが多いからですよね。

つまり、Aさんは決してコアとなる能力・スキルに対して低評価を下されたわけではなく、企業がその当時役員に対して求めるタイプとは違った、というだけなのです。

 

独立して敏腕コンサルタントに

すでに独立していた私はAさんから相談を受けたとき、迷うことなく独立をすすめました。Aさんは優秀で会社に依存せずとも食べていける能力を持っている、と感じたことはもちろんですが、何よりAさんのような尖ったタイプこそ独立向きだと考えたからです。

自信を失い、独立という選択肢もそれまで頭になかったAさんは、「そうか!」と目の色が変わり、さっそくアクションを起こしました。その結果、今は独立して敏腕コンサルタントとして生き生きと働いています。役員になれなかったことなど、独立後の仕事には何の関係もなかったのです。

組織では周囲に波風を立てないバランス感覚が求められるでしょうが、独立してひとり社長になったら埋もれてしまうかもしれません。むしろ組織で軋轢を生み評価されなかった尖った部分をどんどん発揮しなければ、独立して成功しない場合も多いのです。

 

出世にはマイナスだったことが、独立後には大きな強みに

働く場が変われば短所に思っていたことも長所に変わるのです。またその逆もしかり。つまり長年働いて築いてきたスキルや能力に短所も長所もなく、自分の持ち味なのであって、それを活かせる場に身を置けばよいだけなのです。

Aさんのエピソードは決してレアケースではありません。会社内で高い評価を得られなかった人が、社外に飛び出して成功するケースは少なくありません。

サラリーマンとしての上司・会社の評価と、「独立してやっていけるかどうか」ということとは、関係がない場合も多いのです。

社内での評価があたかも自分の社会的価値かのように思い込むのは、もうやめにしましょう。自己尊厳と結びつけるのも間違いです。それこそサラリーマンの呪縛です。

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