THE21 » トピックス » 「コロナ終息」が見えてきたモロッコ。勝負は「ラマダン明けのGW」

「コロナ終息」が見えてきたモロッコ。勝負は「ラマダン明けのGW」

2020年05月08日 公開
2023年07月03日 更新

石澤義裕(デザイナー)

感染者のピークは越えた?

政府はラマダン対策として、夜7時から朝5時までの外出を禁止にしました。モスクは、緊急事態宣言の前から閉鎖しています。

しかし、同じくムスリムの多いインドネシアのように、ラマダン明け休暇の帰省を禁止していません。

なぜか?

政府は国民の自粛に期待しているのかもしれませんが、緊急宣言から5週間、平均すると毎日2,200人もの人たちが緊急事態違反で逮捕されています。

自粛ほど、効果のない魔法の言葉はありません。

ということは、帰省を規制しなくてすむ根拠があるに違いないと調べていたら、下のグラフに行き着きました。

〈グラフ1〉モロッコの1日の新感染者数(出典:Medias24/青い線は著者の加筆)

赤い棒グラフは、1日の新たな感染者数です。直近の2週間は、すでに峠を越えたような美しい右肩下がりになっていました。

外出制限とマスクが効いてきたのか、下のグラフもあります。

〈グラフ2〉現在の患者数、治った患者数、死亡数(出典:Medias24)

緑色の線は治った患者の人数で、ぐぐぐっと右肩上がり。赤い線は死亡者数で、横ばい。黒い線は治療中の患者で、山を越えた感じです。

「やれやれ、やっと先が見えてきた」そんな気持ちがよく表れたのが下です。

〈グラフ3〉今後の予測とゾーン分け(出典:Medias24/日本語は著者の加筆)

ラマダンが終わる5月23日は黄色い「油断禁物」ゾーンに入り、終息活動真っ只中です。1週間後の6月には、晴れて安全圏へ。

この希望的観測をもってして、ラマダン明けの休暇は規制しないのかもしれません。

 

人が戻りつつある街中。しかし……

昨日、世界遺産のメディナ(旧市街)まで買い物に出かけました。

広場には人はいませんでしたが、路地では人通りが戻りつつあります。

とくに魚市場の一角は、超3密「袖すり合うもコロナの縁」という感じ。

「ここは絶対にクラスタ化する!」とか言いながら、新鮮なイカを買って喜んでいるわが家は、緊張の糸が完全に緩んでいます。

モロッコ政府もこの時点で、ロックダウンを再び延長することはないだろうという見込みを発表しました。

まだそんなことは言わない方がいいのではないかと思いましたが、とにもかくにも仕事の早いモロッコ政府です。

次のページ
続報「見通しは甘かった?」 >

THE21 購入

2024年12月

THE21 2024年12月

発売日:2024年11月06日
価格(税込):780円

関連記事

編集部のおすすめ

コロナ下のモロッコ:政府の迅速な対応も、「油断」からか感染爆発の危機

石澤義裕(デザイナー)

ビジネスは「施し合戦」。値切り交渉に隠された深すぎる意味(モロッコ)

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(53)石澤義裕(デザイナー)

日本の常識は捨てよ!アフリカ起業で成功する7つのコツ

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(51)石澤義裕(デザイナー)