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「コロナ終息」が見えてきたモロッコ。勝負は「ラマダン明けのGW」

2020年05月08日 公開
2023年07月03日 更新

石澤義裕(デザイナー)

軽自動車で、北海道から南アフリカまでドライブしたバガボンド夫婦です。

日本を目指してハンドルを握っていましたが、アフリカでコロナに巻き込まれました。

モロッコの小さな港町エッサウィラで、ロックダウン中です。

陸海空とも国境は閉じられましたが、ときどきオランダ、ベルギー、イギリスへの飛行機は飛んでいるようです。モロッコ政府が協力しているらしく、ニュースのヘッドラインに、「Thanks for the cooperation!」と流れます。

日本行きの飛行機は当然なく、チャーター便を出すと一人50万円はかかる、という見積もりだそうです。日本政府のことですから、コロナが去ったころになって案内がくるのではないでしょうか。

いざとなったら、人身売買マフィア主催のパドルボートによる国外脱出という手があります。ただし、スペインまでで片道1,000ユーロ。特別定額給付金では足りません。

ちなみにその逆のスペインからモロッコは、値段が跳ね上がって5,000ユーロです。

5月2日からの3日間だけで、157人が不法移民未遂で捕まりました。ジブラルタル海峡は最短で14kmなので泳いで渡る人もいますが、まだ夏前。海水浴には早すぎます。

モロッコの外出制限は都市間移動はもちろんのこと、外出許可証がないと家から出ることもできません。しかしイスラム教徒が多いモロッコは、われらコロナ難民にとって比較的安全な国でした。

ムスリムは、祈るまえに必ず手足を洗い清めます。1日に5回も祈りますから、少なくとも私の100倍以上、清潔です。そこは自信あります。

 

感染者2ケタで緊急事態宣言。対応が迅速だったモロッコ政府

今年2月、モロッコ政府は日本政府とは比べ物にならないくらい迅速なコロナ対応を行いました。

1日の新たな感染者数が23人ほどで発令された、緊急事態宣言。対応の早さを称えつつ、少々、勇み足だったのではないかと心配したものです。

ところが宣言からひと月後、1日の新感染者数は281人に爆発。新記録を達成するやいなや、日本よりひと足もふた足も早く、30日間のロックダウン延長を発表しました。決断が早い!

缶詰生活が5月20日まで続くとなれば、お祈りは無理にしても、イスラム式の手洗いくらいは勉強します。

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