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「コロナ終息」が見えてきたモロッコ。勝負は「ラマダン明けのGW」

2020年05月08日 公開
2023年07月03日 更新

石澤義裕(デザイナー)

ラマダン後に考えられる2つのシナリオ

4月24日、ラマダンが始まりました。

ラマダンとは、ひと月間にもわたる断食月間です。

生粋の素人ですが、断食がコロナに及ぼす影響について、ふたつの仮説を立てました。

ひとつは、断食によってコロナが終息に向かう説。

もうひとつは、逆にオーバーシュートする説。

コロナ終息説の根拠は、断食が想像以上に厳しいことです。

近所に住むM嬢は、乳飲み児を抱えながら一滴も水を飲みません(注:断食は義務ではなく、職業や体調によります)。

ということはこのひと月間、多くの人はお腹が空くわ喉は渇くわで、否が応でもSTAY HOMEとなります。仕事をしていても力が入らないだろうから、コロナ的には不活性要素である、と考えたわけです。

安倍総理の目指す「接触削減7割」は、遠く離れたモロッコで達成できる!という希望に満ちた観測です。

しかし、ムスリムにとってラマダンは、クリスマスとお盆が一緒にやってくるようなビッグイベントでもあるようなのです。

M嬢の家では、断食後の晩餐は一家6人が勢揃いします。禁欲をともにした同志との食事ほど、美味しいものはないでしょう。

ときには、親戚を呼んだり呼ばれたりして10人も集まる「超3密」。私なら絶対にマスクを外して口角泡を飛ばしまくって喋りますから、危ないことこの上ないです。

食事が終わったら明日の断食に備えてさっさと寝るかと思いきや、モスクへ出かけてお祈りしたり、ビーチや市内を散歩したりの憩いのひとときを過ごします。こんな豪華絢爛な集団会食と楽しい散歩が、休みなく30日間も続くのです。

しかも、ラマダン明けには「ライード アル フィトル」と呼ばれる連休に入ります。この期間には多くの人が、友達と会ったり帰省したりします。

どう考えても、クラスタ培養&オーバーシュート月間。日本のゴールデンウィークより4倍も長いわけですから、じっと家に閉じこもっていられないほど心配です。

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