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コロナ下のモロッコ:政府の迅速な対応も、「油断」からか感染爆発の危機

2020年04月10日 公開
2023年07月03日 更新

石澤義裕(デザイナー)

「油断」からか、感染者が激増

このように、日本よりもよっぽど素早かったモロッコ政府の対応ですが、ここに来て問題が発生してきています。

外出制限でいったんはゴーストタウンと化したエッサウィラの街でしたが、ここ数日、明らかに人が戻ってきています。

大きな声で立ち話する大人が少なからずいるし、昨日は子供が走り回っていました。

コロナ失業したのか暇そうに立っている青年たち、ベンチで惚けている中年男性、生ゴミでカモメを餌付けするおばさん、咳き込みながら徘徊する老人。どう見ても不要不急な外出です。

おそらく、この気のゆるみは全国規模のものだったのでしょう。

(出典:https://medias24.com/coronavirus.html

ここ2週間のモロッコでのコロナ感染者数はうなぎのぼり。4倍に増加してしまったのです。

この危機的数値を受け、政府より「外出時は、マスク着用」という新しいお達しが出ました。

今さらという気もしますが、そもそも日本のようにマスクが一般的ではないモロッコ。窓から往来を眺めた限りでは、マスク率は45%といったところです。しかもそのうち15%は、顎にかけているだけ。ほとんど意味不明です。

ちなみにイスラム圏の女性というと、頭に布を巻いている姿を思い浮かべる人が多いと思いますが、モロッコの女性が巻く「ヒジャブ」は口を隠さないタイプなので、マスクを併用します。顔のほとんどを隠すのは、イランに多いニカブです。

マスクは政府が量産しており、ひとつ10円。紐が短いとかすぐに切れるとか、評判はあまりよくありませんが、日本のように手に入らないということはないようです。

ちなみに、許可証の不携帯とマスクなしの罰金は、3,300円〜14,000円。禁固刑は1〜3ヶ月。モロッコの平均日給はおよそ1,200円ですから、最低でも3日ぶんの給料。どうも緊張感に欠けています。

 

感染爆発の瀬戸際にあるモロッコ

欧米ではアジア人への差別が問題になっていますが、モロッコでは今のところ、そうした問題は感じられません。以前はよく、すれ違う人に冗談交じりに「コロナ」と呼ばれていたりしましたが、積極的にアイコンタクトを送り笑顔を浴びせていたせいか、最近はそういうこともなくなりつつあります。

もっとも、私の乗っている車が珍しいせいか、車の前で記念撮影をする人はちらほら。パンデミックが起きたときに「あの車が感染源だ!」などと言われないか、心配しています。

そんな中、先日ついに「恩赦」が出て、外国人の滞在期限が延長されることに。これで不法滞在の容疑は免れることになりました。

ただ、このままモロッコで感染者が爆発すると、他の国に脱出しようにも入国拒否されかねません。

門外漢ではありますが、ちゃんとマスクをして外出を控えようよ、と切に願っているところです。

もっとも、引きこもるにはもったいない青い空。外に出たい気持ちもわからなくはありません。

緊急事態宣言が明けるのは、4月20日の予定です。


漁港のカモメ:エッサウィラはカモメの街です。

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