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「上司と部下」の問題をテクノロジーが解決する!?

2020年03月05日 公開
2023年02月24日 更新

本田英貴(KAKEAI代表取締役社長兼CEO)

 

「エンプロイーサクセス」が上司の役割

 人事担当者や経営者が、KAKEAIで現場マネジャーの不得意なことを把握し、それを踏まえて部下を配属するケースもあるそうだ。

「私自身、〔株〕リクルートホールディングスでの人事の仕事を通じて、どれだけデータを活かしても現実的には『運』の域を超えない人事異動の難しさや、結局は個人力に依存せざるを得ないマネジメント力強化の取り組みにもどかしさを感じていました。つまり、たまたま良い上司に出会うことができればよいものの、そうでなければ、その人の人生そのものが毀損されてしまうということです」(本田氏)

 これが、本田氏がKAKEAIを開発した理由の一つだ。もう一つ、きっかけとなった経験がある。

「リクルートでは定期的に360度評価を行なっていて、自分のチームメンバーから匿名でフィードバックをもらいます。人事の業務でマネジメント強化に取り組んでいたこともあり、自分自身のマネジメントには自信があったのですが、なんと、そこに書かれていたのは『あなたには誰もついて行きたくないって知ってます??』というコメントでした。とてつもないショックを受けると同時に、メンバーに対する接し方に迷うようにもなり、次第に自分で仕事を背負い込み、うつになって休職するに至りました。反省もさることながら、それこそ『運』で自分と出会った当時のメンバーに対する懺悔に似た気持ちもあり、KAKEAIを生み出すきっかけになりました」(本田氏)

 現在、KAKEAIは企業内のチームごとに利用され、同じ企業内の他のマネジャーのナレッジも共有するようになっている。

「将来的には、他の企業、さらには海外も含めた世界中のナレッジを蓄積、展開する形にしたいと考えています。今後、雇用の流動化が進むにつれ、企業としては、従業員から『今いるこの場所で働き続けたい、力を発揮したい』といかに思ってもらえるかが重要になってくる。今、顧客向けにカスタマーサクセスという言葉が広く使われていますが、現場のマネジャーこそ『エンプロイーサクセス』を担うキーパーソンになっていくわけです。それを支えるプラットフォームを作ります」(本田氏)

著者紹介

本田英貴(ほんだ・ひでたか)

〔株〕KAKEAI代表取締役社長兼CEO

1979年生まれ。熊本県出身。筑波大学卒業後、2002年に〔株〕リクルートに入社。新規事業開発などを経て、〔株〕リクルートホールディングス人事部マネジャー。リクルートグループの「ミドルマネジメント層のメンバーマネジメント改善」施策の検討・実施や、人事業務のデジタル化を推進。一方で、管理職として、自身の部署でのメンバーのマネジメントに苦しみ、失敗。結果、うつ病で休職することに。リクルートホールディングス退職後、複数のベンチャー企業の役員を経験。マネジメントが構造として属人的かつブラックボックスになりがちなものであるがゆえに、どの組織でも起こり得る「自分と同じ失敗」、そして、その失敗が招くメンバーの不幸、組織全体、ひいては社会全体の不幸をなくしたいとの想いから、2018年に〔株〕KAKEAIを創業。

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