2019年11月27日 公開
2023年02月24日 更新
かつては成績優秀だった営業マンが、次第に部下を教えるリーダーの立場に変わることはごく普通のこと。もちろん、過去の栄光をそのままに、指導者としても優秀な人も大勢いるだろう。ただその一方で、部下指導では思っていたような成果が出ずに悩んでいる人もいる。じつはそのような人のなかには、過去にトップ営業の称号を持っていた人が多い。いったい、なぜなのか?
※本稿は、渡瀬謙著『トップ営業を生み出す 最強の教え方』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
「なぜだ、こんなはずではなかったのに……」
はっきりいって自信はあった。現役時代は売れていてトップ営業になったこともあった。その実績を買われて課長にまでなった。売り方はわかっているつもりだ。
しかし、なぜか部下が育たない。自分が知っていることは出し惜しみすることなく100%伝えてきた。売れずに悩んでいるメンバーには親身になって相談に乗っている。同行営業をしながら手取り足取り教えても、結果が出ない。自分の教え方が悪いのか、それとも部下が営業に向いてないのか? いずれにしてもこれ以上どうやって教えたらいいんだ!
スポーツの世界でよくいわれている「名選手は名監督にあらず」というのは、ビジネスの世界でも同じことがいえます。現役時代は天才と呼ばれた人でも、指導者の立場になると期待外れの結果しか出せないタイプ。
その原因のひとつが「無意識」の行動です。どんなに優秀な人でも、自分が無意識にやっていることは人に伝えられません。それがどれほど大切なことだとしても、自覚していないものは教えようがないからです。
そもそも天才というのは、自分の感覚で自然に正しい行動ができる人のことです。新人のうちからバンバン売ってくる営業マンは、人に教わる前から正しい売り方ができてしまっているのです。まわりから見るとどうやって売っているのかわからないし、当人でさえもなぜ売れるのか説明ができません。むしろ、「なぜみんなは売れないんだろう?」などと首をかしげていたりします。ちなみに天才度が高い人ほど、無意識エリアが広いといえます。
そうして、説明がつかずに結果を出す人を「あいつは天才だから」という言葉で納得しようとしているのが実際のところです。
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更新:11月22日 00:05